<小言航兵衛>

似て非なる偽造憲法





 
    自国を悪く言うようになると、その国は亡びる。国民が自国の歴史、ひいては自国の存在そのものに自信をなくすからだ。
 その実例はどこか。『渡部昇一の世界史最終講義』(高山正之、飛鳥新社)によれば、スペインだという。南アメリカでスペイン人がいかに残酷なことをしたか。その実態を書いた報告書がスペイン語のうちはまだよかったが、それをみずから英語に翻訳して世界中にばらまき、凋落の一因をつくった。
 同じようなことを、日本は自らやったわけではないが、戦後の占領軍によって新聞は検閲されるようになり、本当のことを書くと発行停止になったり紙の配給を減らされたりした。ラジオもNHKに占領軍のスタッフが大勢入って、連日「真相はこうだ」などの捏造放送を続けた。
 
 
2018年4月24日刊
 
 
    こうした占領下で日本人の洗脳は相当に進み、占領軍がいなくなった後も、東大総長を初めとする大学教員や日教組などの「敗戦利得者」が自らの利権と立場を守るために、占領条項にすぎない偽造憲法を「平和憲法」などと称して、生徒には日本のありもしない「悪」を教え続けた。今も同じような状態が続いているのではないか。
 占領軍のつくった憲法は、それだけで「占領地の法律を尊重する義務」を定めたハーグ陸戦条約(1907年)の違反である。ただちに破棄して明治憲法に戻し、その改正条項にしたがって新しい日本国憲法をつくるべきだ。明治憲法の改正は簡単で、議員の3分の2の出席を得て、その3分の2の賛成があればいいことになっている。今の憲法が国会議員の3分の2以上の賛成を経て国民投票にかけるなどという複雑で面倒な改正条項を定めているのは、未来永劫に改正させないという占領軍の魂胆から出たものに過ぎない。
 いっぽうで戦後のドイツも日本と同様、占領軍によって憲法を押しつけられたが、最近までに50回以上も改正をくり返してきた。これを憲法と呼ばず、基本法と称しているのは、いずれ自分たちの手で真の憲法をつくるつもりだからである。
 日本も間もなく73回目の8月15日を迎えようとしている。しかし未だに自国を悪く言い、誇りを取り戻せないようでは、歴史の先例が示すように、遠からずして亡びゆくことになろう。
 
   
マッカーサーは1951年、アメリカへ戻った後、上院で
「日本が戦争に飛び込んでいった動機は
欧米諸国によって石油、スズ、ゴム、綿、羊毛などの輸入を断ち切られ、
追い詰められたために、安全保障の必要に迫られてのことだった」
と証言している。
 
   (小言航兵衛、2018.8.12)

 
     
 
   

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