<ボーイング旅客機>

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 ボーイング747-8I巨人旅客機(467席)が12月14日、FAAの型式証明を取得した。量産1号機は2012年初めにドイツのルフトハンザ航空へ引渡される。ルフトハンザは同機を20機発注しており、2015年なかばまでに全機受領の予定。

 747-8Iインターコンチネンタルは現用747-400にくらべて、全長が6m増の76.3m。主翼は新しい設計になり、コクピットは787と同じ最新の技術が採用され、騒音も747-400より小さい。

 これより先、747-8貨物機はすでに今年8月に型式証明を取得、10月から就航している。


747-8Iインターコンチネンタル原型機

 11月からANA定期路線に就航した787は3号機の引渡しが遅れたため、年内の国際線投入ができなくなった。12月に予定されていた羽田〜北京線の運航開始は来年1月なかばになり、羽田〜フランクフルト線には2月から就航の予定。

 なおボーイング787は12月6日から8日にかけて、シアトルを出発、ニューヨーク上空から大西洋、欧州北部を経由してバングラデシュのダッカへ飛び、そこで2時間停留して燃料を補給、シンガポール、フィリピン、ハワイ上空を飛んでシアトルへ帰着した。

 この飛行により、787は200〜250トン・クラスの飛行機として、ダッカまで19,835kmの長距離飛行記録をつくると共に、42時間27分の世界一周飛行時間記録をつくった。

 これまでの長距離飛行記録は、2002年にエアバスA330がつくった16,903km。また世界一周時間記録は、このクラスの飛行機としては従来なかった。

 

 こうした大型機の陰にかくれて余り大きな話題にはならぬが、ボーイング737旅客機は去る12月16日量産7,000号機が完成し、エアラインに引渡された。

 737は単通路の旅客機としては史上最もよく売れている機体で、最近までに9,300機以上の注文を受けている。製造ペースは毎日1機以上で、2014年には月産42機になる予定。

 さらに目下開発中の改良型737MAXはエンジンを換装してCO2の排出量が現用機の10〜12%減となり、座席あたりの運航費も競合機にくらべて7%減となる。この737MAXは去る12月13日、米サウェスト航空から150機の確定注文を受け、同航空がローンチ・カスタマーとなった。量産機の引渡しは2017年に始まる予定。またインドネシアのライオンエアからも、仮注文を含めて350機を受注した。一度の契約金額としては、ボーイング史上最高という。これで737MAXの受注数は900機を超えたが、2013年には1,400〜1,500機に達する見こみ。

 なおボーイング社は737の将来について、需要は今後も続き、20年後には受注数が23,000機以上に達すると見ている。

(西川 渉、2011.12.20/加筆2011.12.21) 

 
737MAX

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