<ボーイング>

787やっと飛んだ

 

 ボーイング787がやっと飛んだ。16日朝早く、インターネットのユーチューブで探り当て、飛び上がるところを映像で見たが、画面が余り良くない上に、撮影者の周囲の人のヒャーヒャーという喚声だか歓声だか、わめき声ばかりが聞こえて飛行機の音はほとんど聞こえず、いささか興をそがれる感じだった。

 観衆はボーイング社の従業員が数千人。ほかに一般の見物客もたくさん集まっていたらしい。

  

 しばらくしてボーイング社からのニュース・メールが届いた。それによると、787原型1号機は12月15日午前10時27分(日本時間16日午前3時27分)にエバレット工場のペイン・フィールドを離陸、3時間余りを飛んで、午後1時33分にボーイング・フィールドに着陸したという。当初は3時間半の飛行予定だったが、気象条件が余り良くなかったので、早めに着陸したらしい。理由は無論それだけで、何か不具合があったわけではないと強調している。

 飛行中の最大高度は15,000フィート、最大速度は180ノットを記録した。エンジンはロールスロイス・トレント1000が2基。これから試験に参加する5機を合わせて、試験用6機のうち2機はGEnxエンジンを装備する。

 就航は1年後の予定だが、乗客にとっては機内の空気清浄力が高まり、窓が大きく、手荷物の収納容積も大きくなって、快適な乗り心地であるという。そのモックアップは、私もいつぞやボーイングの工場で見たことがあるが、照明がきれいで、窓のガラス面は乗務員の操作で明るくしたり暗くしたりすることができる。もはや日よけのシェード板がなくなって、乗客が上げたり下げたりする必要はないのである。

 

 787が飛んだ12月15日という日は、かつてボーイング社の重役会が正式に787の販売活動開始を決議した日であるとか。つまり2003年12月15日に売り出されたわけだが、その売れゆきは6年間に大きく伸びて、今日まで初飛行が28ヵ月遅れという事態に遭遇しながら、まだ飛びもしないうちから865機に達したのである。 

 

 なお、787の初飛行の動画は、ウェブ上のあちこちで見られるようだが、シアトル・タイムズ紙のサイトでもいくつか見ることができる。

 

(西川 渉、2009.12.16)

 

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