<ボーイング787>

試験飛行進む

 開発試験が進むボーイング787は6月17日、飛行時間が1,000時間を超えた。これで型式証明取得までの作業行程の4割に達したという。

 787は昨年12月15日に初飛行、これまで原型4機が飛行してきたが、6月16日には新しいジェネラル・エレクトリックGEnxエンジン搭載の5号機が初飛行した。これまでの原型4機はロールスロイス・トレント1000を装備している。7月中には最後の原型6号機もGEnxを装備して飛ぶ予定。

 さらに最近、787は初の避雷試験をおこなった。通常の金属製の航空機であれば、飛行中に落雷があっても電流は機体全体に広がって消散し、放電されるので、ほとんど被害はない。しかし787の胴体は電導性のないカーボンファイバーが主要材料なので、避雷のために外皮の内側に銅製の網を埋めこんで、電流を逃がすような構造になっている。

 この銅製の網も、初めは機体全体に埋めこむ予定だったが、のちに重量軽減のために落雷しやすい機首、主翼、尾部に限っている。また主翼内部の燃料が落雷によって火花を発することのないよう、ファスナー類の取りつけにも工夫がこらされた。

 結果として787は、実際にも試験飛行中に落雷を受けたが、機体の損傷はなかったという。今後も試験飛行中に落雷を受けることはあろうが、加えて地上で模擬落雷テストを繰り返しおこなうことにしている。

 これらの試験飛行が予定通りに進めば、量産1号機は今年末までに全日空へ引渡される。

 ボーイング787の最近までの受注数は、56社から合わせて860機。

(西川 渉、2010.6.21)

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