<ボーイング787>

引渡し開始は来春

 ボーイング社は8月27日、787量産1号機の引渡し時期について、2011年第1四半期のなかば頃になると発表した。この1号機は全日空へ引渡される。

 引渡し開始は、これまで年内とされてきたが、それが2ヵ月ほど遅れた背景にはエンジンの問題があるもよう。ロールスロイス・トレント1000が、機体取りつけ前の工場で試運転中に停止するという異常を生じた。ほかにも水平安定板や計器などの遅れがあるが、基本的にはエンジンの問題が大きい。

 ともあれ、本当に引渡しが始まって、メーカーもエアラインも、これで万事めでたしということになるかどうか。

 ボーイング社のこうした動きに対して、全日空は2011年3月末までに787-8を就航させる予定。そして2012年3月までの1年間に12機を追加受領し、合わせて13機の運航を計画している。また引渡しの時期もボーイング社の発表にもかかわらず、あくまで年内におこなわれることを期待するという。

 この787を、全日空は当面、国内線に使う予定。そしてできるだけ多くのパイロットに慣熟させ、それからアジア地域の路線に投入し、長距離路線でも飛ばす計画。

 なお全日空は現在3機の747-400を使っているが、今年中に引退させ、その後は787と777の2機種だけを使う計画。A380や747-8といった超巨人機については一時導入を検討したこともあるが、今の不況が続く間は棚上げとしている。

 ちなみにA380は最近までに223機の注文を受け、30機が飛んでいる。しかし日本とアメリカからは1機の注文も出ていない。これについて先週の英フライト・インターナショナル誌は、A380が米国から受注できると思うかどうかを3,754人の読者に訊いている。結果はイエスが31%、イエスだが少数だろうが46%、イエスだが貨物機のみが4%、アメリカには大きすぎて売れないという冗談半分に与(くみ)した人が19%であった。

(西川 渉、2010.8.30)

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