<ボーイング>
787走行試験開始 7月7日、やや旧聞になるが、ボーイング787の地上走行試験が始まった。
初めは、ゆっくりと15ノットくらいの速度で、ブレーキのかかり具合、前輪のステアリング、脚への荷重のかかり具合などを見たもよう。
それから100ノットくらいまで速度を上げ、さらに120〜130ノットの範囲で走り、最後は150ノットの離陸速度に近いところまでの高速走行をおこなうという。
787は6月末に初飛行の予定であったが、主翼の取りつけ構造に強度不足が見つかり、6月23日の発表で飛行延期となった。原因究明と対策立案までに数週間はかかるもようで、実際に飛べるのはいつか、まだ分かっていない。
それでも走行試験だけは進めておこうというのがボーイング社の考えである。
それにしても、787計画はどこまで遅れるのか。これまで計画の遅延は6回に及ぶ。そのたびに楽観的な見通しが表明され、そのたびに外れて遅れが出るという繰り返しであった。
今回も、全日空に対しては2010年春までに1号機を引渡すとしてしているようだが、実際はどうなるか分からない。これ以上の不具合が見つからなかったとしても、本当に飛ぶのは3〜6ヵ月後であろう。あるいは今年末に近くなるかもしれず、したがって1号機の引渡しも2011年になる可能生が大きい。
今回の問題、主翼取りつけ構造の強度不足は、設計に使ったコンピューター・ソフトでも予測できなかった。ソフト自体に問題があったのかもしれない。とはいえ、設計と実際の試験結果に相違のあることは、もとより珍しいことではない。最後は実際の試験によって確かめなければならないのは当然のことである。
今回の問題もそのひとつで、チタニウムのファスナーが曲げ荷重を正常に伝えられなかったため、胴体内部に歪みや乖離が生じたとボーイングは説明している。
この歪みが試験中のストレイン・ゲージに現れたとき、787の技術陣は初飛行には差し支えないと考えた。この判断がパリ航空ショーでもボーイング・トップの強気となり、787は6月中に飛ぶという発言になったのである。
787計画が早く正常な軌道に乗るよう願っています。
(西川 渉、2009.7.20)
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