<エアバスA350>

今週にも初飛行

 欧州エアバス社が開発中のA350双発旅客機は、今週中にも南仏ツールーズで初飛行の予定。ただし、天候などの気象条件が整わなければ延期するとし、その最低条件は雲高1,500フィート以上、視程3キロ以上で、雷がないことと定めている。

 これまで、地上試験は順調に進み、先週終了した。エアバス社は、このA350原型機をぜひとも来週のパリ航空ショー(6月17〜23日)で上空のフライパスだけでもおこないたいという強い希望を持っており、それまでに初飛行を終わらせる考えである。

 初飛行は4時間の予定という。初めは高度10,000フィートを250ノットの速度で飛びながら脚を引込める。それを確認したのち徐々に速度と高度を上げ、高度25,000フィートで各装備品の機能点検をおこない、最終的には高度43,000フィートまで上昇して高速飛行試験に至る。このとき天候が良ければピレネー山脈の上を飛ぶこととなろう。

 その後の試験飛行は、ほぼ1年間に5機で2,500時間を飛ぶ計画。それに従事するテスト・パイロットは総勢20人が指名されている。

 原型1号機は基本的な飛行性能試験をおこなう。2番目に飛ぶのは3号機で、目下最終組立て中だが、今年10月初めに飛行する予定。3番目が2号機で、キャビン内部に客席を備え、2014年1月に飛行の予定。4号機は2014年2月、5号機は同年4月から飛行する。

 飛行試験は1年ほどで終了する予定。これが計画通りに進めば、量産機は2014年末から引渡しに入る。最近までの受注数は616機。今年5月にはシンガポール航空がA350-900を30機発注した。

 A350就航後の量産態勢は、2014年末までに月産3機とし、4年後には月産10機とする計画。なおA350の派生型は基本型のA350-800、やや大型のA350ー900、最も大きなA350ー1000が開発される。

 A350ー800(314席)は、いまのところ需要が少ない。どのエアラインも大型機を欲しがる傾向にある。

 A350-1000は2017年に初飛行の予定。ボーイング777に匹敵し、英国航空が18機の注文を出している。

 なおA350の就航は、当初計画に対して1年半の遅れとなる。ボーイング787は3年の遅れであった。A350も787同様、大量53%のカーボン・ファイバーを使っている。したがって787のようなトラブルが起こることは十分考えられる。しかしエアバス社は同じ轍を踏まぬよう懸命の対策を講じている。

(西川 渉、2013.6.10)

 

 

 

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