<パリ航空ショー>

エアバスA380に大量注文

 アイルランドのドーリック・リース会社はパリ航空ショーの会場で、エアバスA380超巨人旅客機を20機発注する覚え書きに調印した。金額にして80億ドル(約8,000億円)に相当する。この注文が確定すれば、2010年にエミレーツ航空が32機を発注して以来の大量注文となる。引渡しは2016〜2021年の間におこなわれる予定。

 A380は2013年の受注目標が25機だったが、まだ1機の注文もなかった。主翼の亀裂などの不具合が生じたためという。しかし今ドーリックに続いて、ドイツのルフトハンザ航空も2機の追加発注を検討中と伝えられる。

 A380は総数262機の注文を受け、そのうち104機が引渡された。エアライン9社の定期路線で飛んでいる。

 ドーリック社は、これまで18機のA380を購入、エアライン向けのリースに出している。1機あたりのリース料は毎月およそ250万ドル(約2.5億円)だが、同社によればA380に対するリース需要はまだまだ潜在しており、これからも顕在化すると見ている。

 逆に、大手のインターナショナル・リース・ファイナンス社(ILFC)は、A380のリースについてやや疑問を持ち、2年前に10機の発注をキャンセルしたこともある。

「たしかにA380は立派な航空機だ」とILFCはいう。けれども、リース期間が終わった後の他社への再リースなどの後処理を考えると、費用ばかりかかって「リース事業にとっては、好ましい航空機ではない」とか。もっとも、まだリース期間の終わったA380は実例がない。

 エアバス社によれば、A380は15,700kmの長距離をノンストップで飛び、旅客コストが安く、環境への影響も少ない。機内は静かで、ゆったりと広く、乗り心地の良さは乗客にもエアラインにも好評を得ている。したがって超巨人機であるにもかかわらず、座席利用率が高い。それに航空需要は今後も増える傾向にあり、空港の混雑が進むことなどを考えると、大型機の必要性はさらに高まる。

 A380は2007年の就航以来、最近までに100機余の機体で11万便が92万時間の飛行をした。乗客数は4,000万人。A380の寄港地は現在30ヵ所だが、今後も着実に増えてゆくとの見通し。

 (西川 渉、2013.6.21) 

 

 

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