<エアバスA380>

良いニュースと悪いニュース 

 エアバスA380については、依然、悪いニュースが続いている。しかし昨日は久しぶりに良いニュースに接した。豪州カンタス航空がこのスーパージャンボを8機、追加発注したというのである。

 カンタスはシンガポール航空やエミレーツ航空と並んで、当初からA380を発注していたローンチ・カスタマーのひとつで、これまで確定12機、仮12機の注文を出していた。それが今や確定発注20機となった。この発注に至るまで、同航空は経営陣が何度もエアバス社を訪れ、A380問題について同社の対応ぶりを検証してきた。その結果、引渡し開始は2年遅れになるものの、いずれ軌道に乗る見こみがあると判断し、A380を必要とする時期までには間に合うという見方を得たという。

 A380が注文を受けたのは16ヵ月ぶりのことである。なおカンタス航空はボーイング787についても、仮注文を含めて大量115機を発注している。

 しかし楽観は許されない。ドゥバイのエミレーツ航空はA380の遅延問題について、エアバス社の具体的な対応ぶりを調べるため技術者をフランスとドイツへ派遣した。

 同航空はA380を最も多く、43機発注しており、その去就はA380の正否を左右することになる。場合によってはボーイング747-8へ乗り換える可能性もあり、現在10機を発注している747-8貨物機に加えて、旅客型の検討も進めている。

 なおA380の量産1号機は今のところ、来年10月シンガポール航空へ引渡される予定。

(西川 渉、2006.11.1)

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