<エアバス>

A380の披露

 

 

 A380がロールアウトした。もっともエアバス社はロールアウトという言葉を使っていない。日本語にすれば「転がり出る」ということになり、アメリカ式の粗野な感じがするし、アメリカ語は使いたくないのであろう。披露(reveal)という言葉で式典を催した。日本の新聞は「お披露目」とか「お目見え」と書いている。

 その「披露宴」は1月18日、南仏トゥールーズで5,000人を集めて開かれた。出席者の中にはシラク仏大統領、ブレア英首相、シュレーダー独首相、サパテロ・スペイン首相も見えた。いうまでもなくA380の開発にあたってきた4か国である。

 初飛行は、これから地上試運転を経て今年2〜3月におこなわれる。期日があいまいなのは、冬のトゥールーズでは雲も風もない飛行日よりが少ないためで、正確な日どりをあらかじめ予定するのが難しいからであろう。したがって量産機の引渡し開始も、2006年第2四半期としか言っていない。その1号機を受け取るのはシンガポール航空である。 

 飛行試験は4機で行われる。いずれも2005年中に飛行するはずだが、まずMSN001と004が飛び、1年間にわたって基本的な試験をつづける。試験飛行の乗組員は4人。001にはには特別の脱出用ハッチがあって、万一のときは落下傘で空中へ跳び出すこともできる。

 3番目に飛行するMSN002はキャビン内部の装備を完全なものにして、半年間飛行する。この機体は長距離飛行や寒冷地試験などにも使われる。4機目は007で、路線実証試験などに使われる予定。


組立て中のA380原型機

 受注数は現在139機。ほかに70機以上の仮注文を受けている。向こう20年間の需要は750機が目標とか。 

 なお最近、中国がA380を発注するのではないかとの観測情報が伝えられる。中国南方航空が5機を発注し、さらに中国民航も北京オリンピックに向けて発注を検討中という。

(西川 渉、2005.1.19)

 

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