<エアバス・ミリタリー>

A400M輸送機が初飛行

 12月11日、エアバスA400M輸送機が初飛行した。先ず高度2,400mまで上昇、フラップ下げなどの基本チェックをしたのち、巡航飛行状態に戻って最大巡航速度300ノットまで加速した。最後は低速での操作性を確認して、3時間47分後に着陸した。

 A400Mは次世代の軍用輸送機として、欧州航空工業界が20年間にわたって開発してきたもの。エンジンはTP400Dターボプロップ(11,000馬力)が4基。

 2回目の飛行は2日の間をおいておこなわれる予定。2号機は2010年3月に飛行し、最後の5号機は11年なかばに飛ぶ。これらの5機で、今後3年間に合わせて4,370時間の試験飛行をしたのち、実用1号機はフランスへ引渡される。

 A400Mの調達を予定しているのは、フランス、ドイツ、イギリス、スペイン、トルコ、ベルギー、ルクセンブルクの欧州7ヵ国で発注総数180機。ほかにマレーシアが4機を発注している。また南アフリカも発注していたが、開発遅延のために取り消した。 

 A400Mは欧州5ヵ国の「未来大型機」(FLA:Future Large Aircraft)構想によって今から20年前、1989年に始まった。それが具体化したのは2003年の契約成立時で、エアバス・ミリタリー社が開発に着手。当初の計画では2007年に初飛行し、08年から実用配備の予定だったが、配備は3年以上の遅れとなり、コストも25%ほど上がる見こみで、各国政府との間に契約上の問題が生じている。このままではエアバス社の損失が大きい。

 A400Mは最大37トン積み。輸送力は貨物30トンを積んで4,500km、20トンで6,300kmの航続性能を持つ。

(西川 渉、2009.12.12)

 

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