<ボーイングとエアバス>

最近の受注と生産

 大型旅客機メーカー2社。ボーイング社とエアバス社の今年に入ってから3月末までの第1四半期の発注と引渡しの実績は、現下の世界的不況の波を受けて、かつてない不調を示している。

 英フライト・インターナショナル誌によると、エアバス機の受注数はわずか8機にとどまった。内訳はA330が6機、A380が2機で、この2機は大韓航空からの受注。これでA380の総受注数は200機になった。その一方で、A320ファミリーについて14機のキャンセルがあり、実質的には6機のマイナス受注であった。

 ボーイング機は787が32機の注文取消しを受けた。そのため24機の737と4機の777を受注したが、実質は4機のマイナス受注となった。

 4月に入っての朗報はガルフエアの8機の787発注である。いったんは900機を超えた787の総受注数だが、現在は886機にとどまっている。

 なお、ガルフエアの787発注数は、先の16機と合わせて24機となった。

 他方、両メーカーの生産数や引渡し数は、昨年同様の水準を保っている。第1四半期の引渡し数は、ボーイング社が121機で昨年同期の115機よりも多かった。内訳は737が91機、747-400が4機、767が3機、777が23機。

 4月16日、ボーイング737の引渡し数が6,000機に達した。この6,000号機は国際リース・ファイナンス社を通じてノルウェーの低運賃航空会社エア・シャトルが運航する。1967年の737初飛行から見ると42年め。また5,000号機が米サウスウェスト航空に引渡されたのは2006年2月であった。737の現在の受注残は2,200機余。

 一方、エアバス機の今年第1四半期の引渡し数は116機で、前年同期の123機を下回った。うち101機がA320ファミリー。A380の引渡しはゼロである。

 エアバス社は今年も約480機の引渡しを計画している。うちA380は18機の生産計画。

 両メーカーの注文残高は、エアバス社が3,693機、ボーイング社が3,600機で、双方拮抗しているが、問題は受注地域。ヨーロッパ、アジア太平洋地域、中南米、アフリカからの受注は両社とも余り代わりはないが、違いの大きいのは中国と中東からの受注で、エアバス機受注のうち11%は中国から、13%は中東からとなっているが、ボーイングは8%と7%で比較的少ない。

 逆に北アメリカからの受注はボーイングの17%に対して、エアバスは8%。こうした受注地域の差異が今後どのように影響するだろうか。

(西川 渉、2009.4,20/加筆2009.4.24)

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