<AMTC>

アメリカのヘリコプター救急体制

 先週フロリダ州タンパで開かれたAMTC会場で入手した今年の救急体制に、昨年までの状況をつけ加えると下表のとおりとなる。

アメリカ

2007年9月

2006年9月

2005年10月

2004年10月

救急サービス数

267

270

272

256

拠点数

664

647

614

546

機体数

810

792

753

658

 この表から見ると、サービス数はこの2年間でわずかながら減っているかに見える。けれども拠点数が増え、機体数が増えていることからすれば、サービスの統合が進んでいるのであろう。たとえば同じ地域で、別々のサービスが競合していた場合、両者が合併するといったことである。しかし同じサービスの中で、拠点数は必要に応じて増やしてゆくとすれば、それにつれて機体数も増えるから、上表のような結果となる。

 いずれにせよ、全体としての伸びはさほど大きくなく、業界として落着いてきたかと思える。とにかく今世紀に入って5〜6年の間に、拠点数や機体数が倍増してわれわれを驚かせた。これは恐らく、ヘリコプターの事業免許を持っていれば誰でも救急事業に参入することができるからであろう。そのため無闇に事業体が増えて、むろん救急体制としては充実したといえるかもしれぬが、競争が激化したり事故が増えたりしたのが近年の姿であった。

 その結果、中にはヘリコプター事業会社の経営が悪化するところも出てくる。AMTCの会場で聞いた話では、大規模なヘリコプター救急事業を展開してきたCJシステムズ社が最近ヒダリマエとなって、エアメソッド社に買収されたもよう。買収後の新会社は10月1日からスタートするが、そのマーケット・シェアは42%になるという。

 エアメソッド社は元来、救急機の内装工事をおこなう企業であった。それが運航事業に進出し、何年か前にはロッキーマウンテン・ヘリコプター会社を買収して本格化した。そして今や半分近い市場を占めるようになったというのだから、大変な発展ぶりである。

 ペンサコ−ラのバプティスト病院屋上に待機する救急ヘリコプター。9月22日に訪ねていって撮影した写真だが、CJシステムズ社から病院がチャーターしたEC135で、ローターマストのカウリングには下の写真のようにCJシステムズの名前が見られるが、これも10月1日からエアメッソドに変わると聞いた。

バプティスト・ライフフライトは1977年に発足した。今年は30周年にあたり、
上の写真のようなロゴ・マークが胴体に描かれている。

(西川 渉、2007.9.25)

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