AOLブラウザーの使い勝手

 アメリカ・オンライン(AOL)というインターネット・プロバイダーから50時間の無料試用ができるという接続ソフトが送られてきた。もちろんセールス・プロモーションの一環だが、意識的にそれに乗って目下さかんに使っている。

 ブラウザーを開いてみると、画面はなかなか賑やかで、遊び心がいっぱい。テレビ・ニュースなども文字や音声で聞くことができる。したがって娯楽の一種として使うのはいいかもしれないけれども、何かを調べたり、記録を残しておくにはどうも使いにくい。インターネット・エクスプローラ(IE)のようにクリックひとつで次々と進んでいけず、いちいち手間ひまがかかって、実用性に乏しいのである。

 といって、本当はもっと簡便に操作できるのかもしれない。こちらの操作のやり方が間違っているのかな、などと考えると、だんだん自信がなくなってくる。そこで、ここに疑問点を並べておきますので、どなたかご教示いただければ幸いです。この辺りの問題がなくなれば、私は今後ともAOLを愛用したいのですが。

1 最初に「Welcome」という接続画面が出てくるが、そこにいちいちパスワードを入れなければならない。自宅では自分だけしか使わないのだから、そんな手間をかけることはないのじゃないか。ほかのブラウザーのように、暗号を憶えていてはくれないのだろうか。

2 いよいよインターネットにつながっても、すぐに画面が出てこない。もう一度、選択画面が出てきて、そこで何をしたいのか選ばねばならない。インターネットの普通の画面に到達するまで3段階か4段階かかかってしまう。

3 画面が小さい。周囲のわくにもようがついているのはいいけれども、最大限にひろげてもIEほどは広がらない。歳を取ると文字を大きくしなければ、画面がよく見えない。といって、大画面のCRTを買うほどの経済力もないから、ごく標準的な17インチで見ているのだが、AOLというのはもともと若者向きで老眼は相手にしないということなのか、などというひがみすら覚える。

4 そのうえ画面を前の頁に戻すと小さくなってしまう。そのたんびに右肩の□マークを押して、画面を広げなくてはならない。

5 コピーを取るのに大変な手間がかかる。何かの文章をテキストデータでコピーする場合、インターネット文字の上でマウスを引っ張って全文を黒くしておき、それから「コピー」マークをクリックして取りこむという操作になる。これでは何十頁、何百頁もの文書をコピーしようとすると恐ろしい手間になり、考えただけで恐ろしくなってやめてしまう。そこへゆくとIEは「全文選択」をクリックすれば一発で何百頁もの文章が黒くなり、即座に取りこむことができる。

6 ブックマークの手間がかかる。好きな頁の表題とURLをいちいち打ちこまねばならない。URLを手で打ち込むのは間違いのもとだし、そんなこまかい手作業をしている暇はないから、これは自分のホームページだけで諦めることにした。ただし、これを書きながら再度トライしたところ、URLをコピーで取りこみ、それをブックマークの記入欄に張りつければいいことが分かった。いちいち手で打つよりははるかに楽だが、それでもIEにくらべて3段階ほど余計に手間がかかることは間違いない。

7 接続を切ると同時にインターネット画面もみんな消えてしまう。IEの場合は電話を切っても、今までみていた画面をそのまま残すことができる。長い文書類は、いったん接続を切って、ゆっくりと読むこともできる。AOLは、そんな芸当はできないのだろうか。

8 結局いろいろと面倒なので、IEのブラウザーでAOLにつなごうとした。すると、どうしても接続できないのである。AOLはAOLでなければ接続できないとすれば、そのためのブラウザーもIEを上回る使い勝手にしてもらいたいものだ。

 以上がこの10日間ほどAOLを試用してみた感想と問題点です。AOLは世界最大の利用者がいるとのことで、本当はもっと便利なものではないかと思うのですが、どなたか解決策をご教示いただければ幸いです。

(西川渉、98.2.7)

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