<ファーンボロ前夜>

エアバス対ボーイング

 

 ファーンボロ航空ショーはいよいよ来週、ロンドンで開催される。それを控えて、早くも恒例のボーイング対エアバスの発表競争がはじまった。おそらく両社とも、ショー会場で大ニュースを発表すべく秘策を練っているに違いない。

 エアバス社は昨年初めてボーイング社よりも多数の機材を出荷した。今年もトップの座を保つもようで、この半年間の受注数は104機と、ボーイングの73機を大きく引き離している。また来年も、エアバス社は25%増の機体を生産するという大胆な計画を立てている。今年が307機の生産計画であるのに対し、2005年と06年は年間385機を生産するというのである。

 一方ボーイング社は去る4月、全日空から50機の注文を受けて7E7の開発に着手、この7月には伊ブルーパノラマ航空から4機、英ファーストチョイス航空から6機の注文を受けた。またエア・ニュージランドも2機の発注意向を表明しており、全てを合わせると7E7の受注数は62機となる。

 さらにボーイング社は7E7の受注数を今年中に200機とする意気込みで、エアライン30社と売買交渉を進めている。その中で最も期待をかけているのが中国で、50機程度の注文は得られるものと見こんでいる。そして同機の就航時点、2008年までには総数500機の注文獲得を目標としている。7E7の1機あたりの価格は1.25億ドル。

【加筆、2004.7.18】

 ボーイング社は7月15日ロンドンで、7E7について追加140機の注文を受けていると発表した。

 これまでの受注数は、上述の通りエアライン4社から合計62機だが、ほかに20社から合わせて140機を受注したという。具体的な内容は明らかにされていないが、シンガポール航空が20機を発注するという見方も出ている。

 いずれ7月19日から始まるファーンボロ航空ショーで明確になるでしょう。


ブルーパノラマ航空の発注したボーイング7E7

 7E7は、ボーイング社によれば、搭載量の割に重量の軽いこと、運航費の安いことが特徴という。日本の空港のように、着陸料の高いところでは、機体重量が軽ければそのまま経費の節減につながる。また運航費は同クラスの機材にくらべて1割ほど安いことを保証するとしている。

 座席数は7E7-8が全席エコノミークラスで250席。今度のブルーパノラマとファーストチョイスはいずれもこれを選んだが、全日空は230席である。。

 エンジンはGE GenXかロールスロイス・トレント1000のどちらかを選択装備することになる。そのどちらにするか、上の3社はまだ誰も決めていない。

 7E7の派生型は7E7-8長距離機のほかに、300席で航続6,400kmという7E7-3がある。また2012年頃には単一クラス350席というストレッチ型の構想もある。この7E7-9の航続性能は15,300kmである。 


7E7はA330の焼き直しというエアバス社の説明資料。
少なくとも平面形は、大きさも形もそっくりではないかということを示す。
ボーイングが見たらカンカンに怒るだろうが、筆者は知りませんよ。

 ファーンボロ航空ショーで、エアバス社が最も強調するのは超巨人機A380となろう。同機は現在、下表の通り確定129機の注文を受けているが、最近タイ航空が発注意向を表明した。それを含めて、ショーでは新たな受注が発表される可能性が高い。

 A380は総2階建てのキャビンを持ち、標準555席、単一クラスでは800席以上になる。就航は2006年。シンガポール航空が同年春から定期路線に飛ばすことになっている。

A380受注状況(確定129機)

 A380のエンジンはRRトレント900か、
GEとP&Wの共同開発になるGP7200の選択装備が可能。


(A380のコクピットは中2階)

(西川 渉、2004.7.16)

(表紙へ戻る)