<国際航空宇宙展>

ボーイング7E7対エアバスA350

 

 ボーイング社はJA2004の会場で、7E7旅客機の開発スケジュールについて、2007年に初飛行し、2008年に型式証明を取って量産機の引渡しに入ると発表した。以後3年間で172機を製造する予定という。

 7E7の受注数は今のところ、全日空の50機を含めて合計62機。172機の目標とは差がありすぎるが、年末までには200機にしてみせるという意気ごみ。

 そのためボーイング社は目下、エアライン18社と交渉中で、ベトナム航空は4機分の前渡金を支払っているらしい。また中国からも、6〜7社を合わせて65機の注文が出る見こみという。しばらく前までは、これが90機と伝えられた。


JA2004の会場に展示された7E7の模型
白地に青い波形が余程お気に召したか、本頁冒頭に掲げた車まで同じ塗装であった。

 しかしボーイング社の意気ごみにもかかわらず、7E7の受注が見こみ通りに進展しないのは、最近エアバス社がA350の開発計画を発表した影響もあるらしい。この新しい旅客機の計画は9月下旬に公表されたもので、7E7を標的としている。

 基本となるのは今のA330だが、A380の開発技術を採り入れ、機体を複合材製として重量を減らし、7E7を凌駕する航続性能を持たせる。つまり「最小の変更によって最大の効果を上げる」というのがエアバス社の言い分である。

 すでにルフトハンザ、ノースウェスト、シンガポールなどのエアラインと交渉中。これらの航空会社は、かねて7E7を買おうか買うまいかと思案中であった。そこへドアをノックする音が聞こえたので、ボーイングかと思って出てみると、玄関にはエアバスのセールスマンが立っていたというのである。

 エンジンは、GEやロールスロイスが7E7向けに開発中だったものを流用し、わずかに改めるだけでA350に使うらしい。7E7用のRRトレント1000などは、実質的に改修なしでA350にも使えるという。ボーイング社としては、トンビに油揚げをさらわれたような思いであろう。

 無論ボーイング社は、そんな愚痴をこぼすわけにはいかない。「A330をどんなに改修しても、7E7には勝てない。旧い機体をもとにすればどうしても妥協が必要で、7E7の脅威になるはずがない」と強気の談話を発表している。

 A350の初飛行は2008年なかば、型式証明取得は2009年の目標である。 

(西川 渉、2004.10.11) 

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