<ボーイング対エアバス>

旅客機3題

 ボーイング社は2月13日、最新の747巨人旅客機、747-8インターコンチネンタルを披露した。現用747-400よりも長く、乗客は51人増となる。

 さらに同機は、大きさばかりでなく、787の開発技術を応用して燃料消費を乗客1人あたり16%改善する。また地上に対する騒音の影響範囲(フット・プリント)は30%ほど小さい。

 機体は、競争相手のA380(525席)より小さいが、ボーイング社にいわせると、A380の方が大きすぎるのであって、747-8こそ丁度よい大きさなのだとか。

 最近までの受注数はルフトハンザ・ドイツ航空から20機、大韓航空から5機だが、ほかに貨物機として74機の注文を受けている。実際に飛び始めれば、旅客機としての受注数も増えるというのがボーイング社の皮算用。

 13日にシアトルで披露された機体の塗装は朝焼けの色を示しており、今後の「繁栄と幸運」をあらわすものという。


ボーイング747-8iインターコンチネンタル旅客機

  対するA380について、日本のスカイマークが2月17日、4機を発注した。日本の航空会社としてA380の発注は初めてである。スカイマークは、このA380によって、「よりゆったりした、より快適な、より静かなキャビン」を乗客に提供するとしている。

 1番機の引渡しは2014年4月。シンガポール航空やルフトハンザ航空に対抗して、東京からの長距離国際線に投入する予定。これでA380の受注数は総計244機となった。


スカイマーク向けA380超巨人旅客機のイメージ

 

 なおボーイング社は近く、おそらくは今年のパリ航空ショーで、まったく新しい次世代旅客機の開発計画を明らかにするもよう。これは現用737の後継機となるもので、エアバス社が昨年末に開発着手を発表したA320NEOに対抗する。

 ただしボーイング社としては現在、747-8の生産着手と3年遅れの787の開発に集中する必要もあって、新たな737後継機の開発まではなかなか手がまわらない状況。しかし現に737旅客機を使用中のエアラインにとっては、その後継機がどうなるかは重大な関心事であり、737が途絶えるとすれば顧客の多くがエアバスA320NEOに移って行く可能性もある。すでにその移行を明らかにしているところもあって、何らかの手を打たずにはいられないだろう。

 ちなみに、A320NEOは2016年に引渡し開始の予定で、初号機は30機を発注しているヴァージン・アメリカ航空に引渡される。 


エアバスA320

(西川 渉、2011.2.23)

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