<ベル・ヘリコプター>

明暗2種類の話題

 ベル・ヘリコプター社について、HAI大会の会場から明暗2種類の話題が伝えられる。

 去る1月18日、これまでのM.リーデンバウ社長が辞任して、同じテキストロン・グループの姉妹会社の社長だったリチャード・ミルマン氏がベルの新社長に就任した。HAI大会の会場から伝えられるニュースには前社長の解雇(ファイヤ)という言葉も見える。その理由は、2005年夏アメリカ陸軍から受注した武装偵察ヘリコプター(ARH:Armed Reconnaissance Helicopter)の引渡しが1年ほど遅れているためらしい。

 しかも新社長は初日の記者会見に顔を見せなかった。翌日やっと登場したが、昨日は役員会があったからと弁明したうえで、就任早々だから具体的なことは質問に答えられないというなど、記者団の受けは必ずしも良くない。

 もっと驚いたのは、モデル417の開発中止である。この単発タービン機は上のARHの民間型で、現用407の発達型といってもよいが、昨年のHAI大会で華々しく開発計画が発表され、136機の注文を受けている。それが急に廃案となった理由は予定の飛行性能が出ないためという。しかし詳しいことは明らかにされていない。


昨年のHAI大会で華々しくベールをぬいだモデル417だったが……

 とはいえ、新しいベル429の開発は順調に進み、去る2月27日カナダのケベック州ミラベルのベル社工場で初飛行したもよう。

 もうひとつ、ベル・ヘリコプター社関連のニュースの中にニューヨークのヘリコプター・フライト・サービス社がマンハッタンの3ヵ所のヘリポートから周辺4ヵ所の空港へチャーター飛行をするという記事があった。使用機はベル407単発機。飛行時間はいずれも10分程度で、地上を車で走ると1時間ほどかかるので効率が良い。料金は1回1,250ドル(約15万円)とか。

 なおベル、ヘリコプター社の2006年中の受注実績は前年より多く、民間機が402機であった。

 また引渡し数は、206Bが14機、206L-4が21機、407が67機、427が7機、430が9機、412が35機であった。合計153機になる。軍用機はV-22オスプレイが16機、OH-58が20機、TH-67が7機、206Bが6機で、合計49機。


ベル429

(西川 渉、2007.3.6)

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