<ボーイング>

峠を越えた受注数

 

 ボーイング社は、自らの受注数が峠を越え、これから下降するだろうと見ている。これまでの3年間、破竹の勢いで増えてきた受注数は、今年になって予想外に伸びず、09年はさらに減るというのだ。

 おまけに11月2日までの2ヵ月間に及ぶ従業員のストによって、製造作業が遅れ、顧客への引渡し日程も大きく遅れつつある。特に787の初飛行の日程は、先ゆきほとんど見えなくなった。

 ところで、当面の情勢とは直接関係がないが、ボーイング旅客機の現況は、2ヵ月前のアビエーション・ウィーク誌によると次のとおりである。

ボーイング787

 ドリームライナーの愛称をもつ双発ワイドボディ旅客機。3種類の派生型が計画されており、787-8は210〜250席で航続距離が14,000〜15,000km。これを近距離用にした787-3は290〜330席と乗客数は増えるが、航続距離は4,600〜5,600kmに短縮される。長航続用の787-9は250〜290席で、14,000〜15,700kmの航続性能をもつ。将来は、もうひとつ787-9のストレッチ型787-10の開発もあり得る。

 エンジンはGEnx、またはロールスロイス・トレント1000。引渡し開始は2009年中の予定だが、果たしてどうなるか。生産見こみは1,116機。

ボーイング777

 双発ワイドボディ旅客機。1994年6月に初飛行、95年4月に米欧双方の型式証明を取得した。引渡しが始まったのは同年6月。

 777-200は305〜440人乗り、長航続性能を持つ777-200ERは301〜440人乗り、777-300は368〜550人乗り。

 最新鋭の777-200LRは3クラスで301席だが、貨物専用型もある。777-300ERは365席。

 777は全機合わせて2007年末までに687機が製造された。今後なお807機の製造が見こまれる。

ボーイング767

 双発ワイドボディ旅客機・2007年末までに959機が生産された。原型機は1981年8月にロールアウト、翌月初飛行した。

 現在生産中の派生型は767-200ER(224席)、ー300ER(269席)、ー400ER(304席)、およびー300F貨物機。エンジンはCF6-80C2またはPW4000のどちらかを選択装備できる。

 767が現在米空軍の空中給油機KC-Xタンカー競争に名乗りをあげており、これに採用されなければ、数年で生産が終わると見られる。後継機は新しい787である。

ボーイング747

 長距離用の大型ワイドボディ4発ジェット旅客機。2007年末までに1,396機が生産された。

 747の初飛行は1969年。現用747-400は1989年1月に型式証明を得て、引渡しがはじまった。エンジンはPW4062(推力28,700kg)、GE CF6-80C2B5F(28,100kg)、ロールスロイスRB211-524H2-T(27,000kg)の中からいずれかを選択装備できる。

 新しい747-8は出力を強化したGEnxエンジン(推力30,100kg)4基を搭載、747-400の胴体を5.6m引き延ばして、3クラス467人乗りとするもの。14,800kmの航続性能をもつ。また貨物専用の747-8Fも同様に747-400Fより5.6m長く、154トンのペイロードを持つ。

 747-8の引渡しは2009年末ごろから始まる予定。

ボーイング737

 狭胴の双発ジェット旅客機。現在生産中の各機座席数は、737-700が126席、737-800が162席、737-900ERが180席。エンジンはいずれもCFM56ー7Bが2基。

 737は1967年4月に初飛行。同年12月に早くも型式証明を取得して引渡しに入った。初期のー100を初め、ー200、ー300、ー400、ー500、ー600は、いずれも生産が終わっている。2007年末までの生産数は総計5,600機。2017年までの今後10年間の生産見込みは3,256機。競合機はエアバスA320ファミリー。

(西川 渉、2008.11.25)

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