<SSBJ>

超音速ビジネス機の開発研究つづく

 アメリカでは依然として超音速ビジネスジェット(SSBJ)の開発研究が続いている。それも私的な企業によるものだ。

「アビエーション・ウィーク」誌(2006年5月1日号)の報じるところでは、ネバダ州リノのエリオン社は今年夏、同社の開発した自然層流翼(natural laminar flow wing)にロケットを取りつけて超音速の飛行実験をおこなうという。ほかに風洞試験なども計画しているが、ロケットによる実験は実際に空中を飛ばすので、いっそう正確なデータが取れるものと期待されている。

 この実験に使う翼はカーボン・ファイバーの複合材で製作され、翼根の翼弦長が1.37m、スパンが1.2m。実験は高度1,300mまで上げて、マッハ1.5で飛ばす。エリオンの超音速翼はすでにF-15で試験ずみである。

 この層流翼は、通常の超音速用デルタ翼にくらべて抵抗が2割減となり、着陸速度は通常のビジネスジェット、たとえばガルフストリームやグローバル・エクスプレスと変わらない程度にまで下げることができる。

 巡航速度はマッハ1.6。ニューヨーク〜パリ間を4時間余りで飛ぶことができる。

 エリオン社では、こうしたSSBJの開発研究について、予定の通りに進んでおり、技術的にも経済的にも実用可能と考えている。そのための開発日程は、開発決定から5年ほどで型式証明を取得する。したがって、今後10年くらいのうちに実現できるという。需要は最初の10年間で約300機を予想。

(西川 渉、2006.5.15)

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