<ユーロコプター>

2005年受注実積

 

 ユーロコプター社は2005年、ヘリコプター・メーカーとして世界第1位の地位を保持した。この1年間の新製機受注数は軍用機と民間機を合わせて401機である。売上高は前年比15%増の32.1億ユーロとなった。これに技術支援その他の収入を加えると位総額35.2億ユーロになる。また受注残は99.7億ドル相当となった。

 受注数の内訳は下表の通りである。

機    種

機    数

EC120コリブリ

44

AS350/355/EC120

193

EC135

87

EC145

20

AS365/EC155/パンサー

25

スーパーピューマ/EC225/EC725

14

タイガー

6

NH90

12

合    計

401

 


EC120コリブリ

 ユーロコプター社は世界中に事業を展開しているが、その地域別の活動を見てゆくと次のようになる。

スペイン

 ユーロコプター・スペイン社は、ドイツとフランスに次いで、ユーロコプター第3の重要な柱である。2005年はスペインおよびフランス向けのタイガー攻撃機を18機製造し、さらに6機を改修して新しい装備を取りつけた。

 またスペイン内務省はEC135を51機購入すると発表した。スペイン軍も大型輸送用ヘリコプターNH90を45機購入する計画を明らかにしている。

米   国

 アメリカン・ユーロコプター社は、この1年間に122機の確定注文を獲得した。さらに米沿岸警備隊のドーファン改修にあたっている。

 また米陸軍に対しては、軽多用途ヘリコプターLUHとしてUH145の提案を出している。LUHは322機の調達が予定されている。

中   国

 中国では、第2航空工業公司(AVICU)と組んで、新しいEC175の共同開発が決まった。同機は総重量6トン級の民間向けヘリコプターで、2006年初めに開発作業を開始、2009年に初飛行、2011年には型式証明取得の予定。

 この開発のためには6億ユーロ(約850億円)の資金が必要だが、ヨーロッパと中国が半分ずつ出資する。生産は欧州と中国で平行しておこなわれる。販売見込みは向こう20年間で800機。

 

韓   国

 韓国政府は、韓国航空宇宙工業(KAI)のパートナーとしてユーロコプター社を選定し、韓国軍の新しい輸送用ヘリコプターKHPの開発を進めることになった。同機は総重量8トン級のヘリコプターで、2006〜2011年の間に開発される。その後10年間で韓国軍は245機を調達する。

 このヘリコプターのためのユーロコプター社の資金負担は、開発段階で30%、生産段階で20%の予定。

日   本

 日本ではユーロコプター・ジャパン社を設立して販売活動を強化した。その結果、海上保安庁からEC225の注文を獲得した。同機はスーパーピューマの最新型で、総重量11トン級。また政府専用機にも新たに採用された。


EC225

 軍用機に関しては、ユーロコプター社の最先端技術を駆使したタイガー武装攻撃ヘリコプターがフランスとドイツから各80機、スペインから24機、オーストラリアから22機、合計206機の注文を得て生産が進んでいる。2005年は11機を製造し、それぞれ上の4か国へ引渡した。

 またNH90大型多用途ヘリコプターは、フランス、フィンランド、ドイツ、ギリシア、イタリア、ノルウェー、ポルトガル、オマーン、オーストラリア、スウェーデン、オランダ、ニュージランド、スペイン、ベルギーの14か国から軍用機として注文を受けている。このうちスウェーデン向けの機体はキャビンの天井が高くなっているが、このほど初飛行したばかりである。


タイガー武装攻撃機

 こうしてユーロコプター社は、世界戦略をいっそう具体化し、欧米諸国ばかりでなくアジア諸国との共同開発を進め、世界各国の販売活動を強化するなど、2006年にはいっそうの国際化を進めてゆくことにしている。

(西川 渉、2006.1.24)

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