<エムブラエル>

航空界に革新をもたらす
ファミリー170/190
 

 

 今年初めから、ブラジル・エムブラエル社のリージョナル・ジェットに関するニュースが相次いで伝えられた。身近なところでは本誌6月号にも報じられているとおり、エムブラエル170が3月なかば初めて来日、デモ飛行を見せてくれたことである。

 それより先、同機は2月19日にブラジル政府の型式証明を取得した。翌20日には米FAAの型式証明、4日後の2月24日には欧州航空安全庁(EASA)からも型式証明を認められた。EASAは最近設立された欧州連合(EU)の航空安全機関で、170はEASA初の型式証明を受けたことになる。

 これにより170量産機は3月8日LOTポーランド航空へ1機、USエアウェイズへ2機が引渡された。3月10日にはアリタリア航空へも1機が引渡されている。

 そして3月12日エムブラエル190が初飛行する。さらに3月23日には米リパブリック航空が確定13機を含む50機の170を発注した。これらのニュースは、エムブラエル社の慶事つづきといって良いかもしれない。


エムブラエル170

2004年は大きく回復

 だがエムブラエル社にとって、昨年は苦しい1年間だった。というのも170の型式証明取得が遅れたためで、本来ならば1年前の2002年末から引渡しに入る計画だった。ところがソフトウェアの開発が遅れ、何もかも1年遅れとなったのである。

 そのうえ昨年は、170のもともとのローンチ・カスタマーだったスイス国際航空が財務危機におちいった。そのため引渡しの延期を求めてきたことから、計画の変更や調整に追われた。

 こうした状況で、2003年の引渡し数はERJ145シリーズだけの101機にとどまり、当初計画の148機に対して31%減となった。2002年の引渡し実績131機から見ても22%減である。売上高も21億ドルで、前年の25億ドルから16%減、利益は前年の2億2260万ドルにくらべて4割近く低下し、1億3600万ドルであった。

 しかし今年は、上述のような慶事つづきから見ても、業績は大きく回復し、さらに伸びるものと期待されている。一方でエアライン業界の景気も回復しつつあり、大手エアラインの中にも70〜118席のリージョナル・ジェットを使う動きが出てきた。

 エムブラエル社の生産計画をもう少し詳しく見てみると、170を10機発注しているLOTへは2005年末までに全機引渡される。これらはワルシャワを本拠として東欧各地の路線に就航する。なおポーランドは今年5月からチェコその他の東欧諸国と共に欧州連合(EU)に加盟したが、その経済状況は年率5%の割合で成長をつづけている。

 スイス国際航空は確定15機、仮15機を発注している。まずは今年2機をリースする予定。そしてUSエアウェイズは確定85機、仮50機、アリタリアは確定6機、仮6機の170を発注し、次々と引渡しがはじまった。

 こうしてエムブラエル機の生産数は、EMB145や170を含めて2004年が総数160機、2005年が170機と計画されている。 

170/190ファミリーの概要

 では、エムブラエル170/190ファミリーとは、どのような航空機であろうか。しばらくメーカーの説明を聞いてみよう。

 エムブラエル社は1990年代初め、ERJ-145(50席)によってリージョナル・ジェットの開発に乗り出した。同機は1995年に初飛行、97年に就航し、最近までの引渡し数は710機を超えた。2003年末現在の受注数は確定891機、仮502機。この中には派生型のERJ-135(37席)やERJ-140(44席)も含まれる。

 こうしたERJ-145の成功にもとづいて、170/190ファミリーは1999年2月に開発計画が発表された。当時はERJ-170、ERJ-190と呼ばれたが、現在ではエムブラエル170、190と呼ばれる。

 基本となる170は乗客70〜78人乗り。2002年2月19日に初飛行し、上述のように今年3月型式証明を取得した。170の胴体を1.77m引き延ばして78〜86席としたのが175である。2003年6月14日に初飛行、本年末までに型式証明を取得する予定。

 190はさらに大きく、170の胴体を6.3mほど延ばして98〜108人乗りとなる。主翼スパンも大きくなり、エンジンも強化された。原型1号機は去る3月12日に初飛行したが、今後は3機を加えて4機で試験飛行をおこない、2005年秋までに型式証明を取る予定。その胴体を2.41m延ばすのが108〜118人乗りの195である。

 胴体直径は4機種とも変わらず、座席配置は左右4列だが、ファーストクラスは3列になる。天井までの高さは通路上2m。

 エンジンは170/175がGE CF34-8Eターボファン(推力6,350kg)2基、190/195がGE CF34-10E(推力8,390kg)2基。エンジン取りつけ位置は、ERJ-145や競争相手のボンバーディアCRJと異なり、低翼下面となった。そのため外観上は従来の大型ジェット旅客機と変わりがない。

 主翼先端にはウィングレットがつく。操縦系統はフライ・バイ・ワイヤ。降着装置は前輪式の3車輪で、主脚のタイヤは左右2つずつである。

 離着陸性能は、170の離陸滑走路長が1,235m、着陸滑走路長が1,260m。巡航速度は最大マッハ0.82で、航続距離は170の標準型が3,100km、長距離型(LR)が3,700km。

 なお、これら4機種から成るファミリーは、相互の共通性が非常に高い。コクピットは全く同じで、パイロットの拡張訓練もほとんど必要なく、操縦資格も共通する。また部品や装備品など構造上の共通性は170と175の間で95%、190と195の間でも95%、170/175と190/195の間で89%である。


エムブラエル190の初飛行(2004年3月12日)

ギャップを埋めバランスを取る

 このような70〜110人乗りのリージョナル・ジェットは、これからの航空界にあってどのくらい需要があるだろうか。そして、どのように使われるのか。

 最近までの受注数は下表の通りである。170/190ファミリーとしては確定受注数が合わせて245機、仮305機。就航しはじめたばかりであるにもかかわらず相当に多いといってよいであろう。このほかにも、エアカナダが190について確定45機、仮45機の発注を検討中で、まもなく正式発注をするもようである。

 

エムブラエル機の受注数

機  種

確定注文

仮注文

引渡しずみ

確定受注残

ERJ135

122

7

105

17

ERJ140

94

20

74

20

ERJ145

675

475

531

144

エムブラエル170

120

125

-

120

エムブラエル190

110

150

-

110

エムブラエル195

15

30

-

15

合  計

1136

807

710

426
[資料]エムブラエル、2004年3月末現在

 

 エアカナダの例に見られるように、これらの発注者はいわゆるリージョナル航空ばかりではない。そこに航空界の新しい動きが見られる。

 エムブラエル社によれば、これまでのジェット旅客機は、ボーイング737やエアバスA319/320など110〜120席が下限であった。一方、リージョナル・ジェットはERJ-145やCRJ700に見られるように50〜70席機が上限だった。したがって70〜110席クラスの旅客機が欠落していたのである。しかし機材がないからといって、需要がないわけではない。少なくとも今後、このクラスの機材に適した需要は増加の傾向を見せている。

 需要があっても、それに適した機材がなければどうなるか。必要以上に大きな機体で対応せざるを得ない。エムブラエル社によれば、737やA320など、ワイドボディ機以外の狭胴型旅客機が飛んでいる米国内線で、1便当りの乗客数は下表のようになる。

 

米国内線の1便あたり乗客数

乗客数

便数比(%)

備    考

50人以下

2

   

50

4

合計27%。70〜90席機に適する

60

9

70

14

80

17

合計34%。90〜110席機に適する

90

17

100

13

     

110

8

120

7

130

4

140

2

150人以上

3

合 計

100

   

 たとえば1便あたりの乗客が50人という飛行便は全体の4%、乗客60人の便は9%。70人の便は14%であった。この程度の乗客であれば、本当はもっと小さな70〜90席の機材でよかったはず。同様に乗客数80〜90人の飛行は90〜110席機でよかったと思われる。しかし実際は110〜120席以上の737やA320が使われていたわけで、これでは無駄な座席が多い分だけ運航費がかさみ、利益が減る。

 逆に従来、50席クラスのリージョナル・ジェットが飛んでいた路線で、事業がうまく進展して乗客が増えてきた場合、それに対応できる機材がないために50席機のままで事業を続ける。そうなると、旅客はなかなか予約が取れず、うまく乗れても機内はいつも満席で混み合い、だんだん評判が落ちてくる。このようなとき、本来ならば70〜90席機へ替えてゆくべきなのである。

 そうしたギャップを埋め、需要と供給のバランスを取りながら、経済的な合理性を確保するのが170/190ファミリーの役割にほかならない。

170/190の経済性

 170/190ファミリーは運航コストの引き下げについても設計上の工夫をこらしている。先に述べた4機種の共通性が高いのもその一つだが、たとえば「構造設計効率」という指標によって経済効率を見てみよう。これは次表の通り運用自重に対する最大ペイロードの比で、リージョナル・ジェットが41〜47%であるのに対し、大型機は40%以下である。したがって、たとえば195の効率はA318に対して3割も高いことになる。それだけ重量関連のコスト――たとえば着陸料、航行援助施設料、燃料費などが割安になる。

 

構造設計効率の比較

      

最大ペイロード(Akg)

運用自重(Bkg)

構造設計効率(A/B)

エムブラエル170

8,660

20,940

0.41

CRJ700

8,288

19,971

0.42

エムブラエル175

9,890

21,810

0.45

CRJ900

9,895

21,856

0.45

エムブラエル190

12,720

28,080

0.45

エムブラエル195

13,530

28,970

0.47

ボーイング717

12,191

30,444

0.40

ボーイング737-600

14,379

37,104

0.39

エアバスA318

14,022

38,978

0.36

[資料]エムブラエル社

 

 さらに1時間あたりの直接整備費は、大型機はもとより、CRJにくらべても、エムブラエル機の方が安い。これはエムブラエル社の計算だが、たとえば170は競合機のCRJに対して19%減、190/195は大型機に対して23%減になる。

 また目的地に到着して出発するまでの地上時間も、競合機にくらべて短い。機体の前部と後部に左右合わせて4ヵ所のドアがあるためで、それにより乗客の乗り降り、荷物の積み卸し、機内の清掃やケータリングの作業などをスムーズに進めることができる。エンジンも主翼下面の低いところにあるので、点検作業が容易にできる。それだけ地上時間が短くなり、航空会社としては飛行便数を増やし、稼働率を上げることができる。このターンアラウンド・タイム(TAT)を、エムブラエル社は170/190ファミリーについて、わずか17.8分と見積もっている。

 ペイロード航続性能は乗客満席で2,300km、乗客数を減らせば4,000kmを飛ぶことができる。ということは東京からロシアおよび中国の東部、台湾、香港など、東アジア一帯をカバーすることが可能。

 事実、欧米では近年リージョナル・ジェットの就航区間が伸びる傾向にあり、700〜800km区間が多いのは以前から変わらないが、最近は1,600〜1,800kmという長距離区間の増加が目立ちはじめた。

大手もリージョナル機を使用

 リージョナル・ジェットがここまでくると、その用途はいわゆるリージョナル航空の範囲にとどまらなくなる。事実、近頃はリージョナル航空とは何かという定義もあいまいになってきた。

 たとえばエムブラエル170の量産1号機を受け取ったLOTポーランド航空は4月から同機の定期運航を開始した。今年中に6機、来年4機を受領する予定。ほかに11機の仮注文を出しているが、この11機は190への切り換えもあり得る。

 これら新しい大型リージョナル機はワルシャワを拠点として、イタリアのヴェニスとアイルランドのダブリンへ飛んでいる。やがて機体の増加と共にアムステルダム、ブリュッセル、パリ、ローマ、ストックホルムなどへの定期運航が計画されている。同時に4機の737-500を今年夏までに引退させ、さらに5機の767-200ER/-300ERも2006年までに引退する。つまり170や190を、737や767の後継機として使うというのである。

 米国では、まずUSエアウェイズが170を導入し、傘下のミッドアトランティック航空の運航によってペンシルバニア州ピッツバーグを拠点とする定期路線の運航を開始した。USエアウェイズは2002年8月破産法の保護下に入った。1年後には脱け出たが、未だ再建途上にあり、合理化対策のひとつとして大量135機というリージョナル・ジェットの導入がはじまったのである。

 またリパブリック航空は、今年秋から170の運航を開始する。同航空はユナイテッド航空の傘下でリージョナル部門を担当している。ユナイテッド航空は、これも破産法の保護下で苦しい合理化を迫られていて、リージョナル・ジェットの導入は経営再建策の一環にほかならない。

 このようにリージョナル・ジェットは、大型ジェットだけを運航してきたエアラインでも、きびしい競争を生き抜くための方策として使われるようになった。

 大手エアラインの苦境は、たとえば米国内線の場合、エムブラエル社によると、1,600km前後の区間で平均運賃が1998年1月から2003年1月までの5年間に37%下がったという。その結果、たとえば2003年第1四半期の業績は、米大手エアライン5社――USエアウェイズ、デルタ航空、ノースウェスト航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空のイールドは軒並みマイナスとなり、収入単価がコストに対して平均80.3%しかなかった。

 その一方、リージョナル航空は平均9.8%のプラスだった。これではエアラインの企業経営として、リージョナル機への依存度が高まるのも当然であろう。

 こうしてリージョナル・ジェットの就航路線は、米国内で1995年1月現在76路線だったものが、8年後の2003年1月には1,874路線にまで増加した。欧州でも1995年の104路線が2003年には1,072路線に増えている。

格安エアラインもリージョナル機へ

 上述のように航空運賃を押し下げている要因の一つは、低運賃エアライン(LCC:Low Cost Carrier)の急成長である。1995年に米国内で336路線を飛んでいたLCCは、2003年1月には944路線を飛ぶようになった。その結果、次表に示すとおり、米国内で1980年にシェア3%だったLCCは2003年には推定21%を占めるに至る。旅客の2割以上が格安エアラインを利用するようになったのである。

 

地域航空と格安航空の成長

   

米国内線シェア(%)

欧州圏内シェア(%)

大手航空

地域航空

格安航空

大手航空

地域航空

格安航空

1980

91

5

3

1990

84

9

7

1995

86

14

1

1998

81

17

2

2000

71

13

16

78

17

5

2002

65

16

19

73

19

8

2003

62

17

21

69

20

11
[注]米国のシェは乗客数、欧州は旅客輸送距離

 

 欧州でもLCCは1995年に18路線だったが、2003年には880路線まで一挙に増加した。その結果、LCCの旅客輸送距離は1995年に1%のシェアだったものが8年後には10倍以上になっている。

 LCCの元祖として、その典型をつくったのはサウスウェスト航空である。使用機材を、たとえばボーイング737だけという1機種に絞る。機種を増やすと、それだけでコストが上がるからである。そのうえで予約、発券、搭乗手続きを簡素化し合理化する。機内食などのサービスも抑制すると同時に、乗客には決して悪印象を与えぬよう、費用のかからぬサービスで報いるといったやり方である。

 今では多くの低運賃エアラインがこのやり方にならって伸びてきた。その中で、もうひとつLCC事業に新たな革新策を採り入れようというのが米ジェットブルー航空である。同航空は2003年6月10日エムブラエル190を大量100機発注し、さらに100機を仮発注すると発表した。現用A320-200と併用するというのだ。引渡しは2005年秋の型式証明取得と同時にはじまるが、ニューヨーク・ケネディ空港を中心にリージョナル機だけでハブ・アンド・スポーク路線システムをつくり、低運賃サービスをはじめる計画である。

 ジェットブルーのA320は、今年初めの保有機が57機。ほかに96機を発注しているので、総数153機になる。これに100機のエムブラエル190が加わる。導入の背景には、先に述べたように機体価格や運航費が安くて、経済性が高い。しかも100人前後という相当数の乗客をのせて航続距離が長いといった運航特性にもとづく。

 それに機内は天井が高く、座席や通路の幅はA320よりも広い。加えて客席には1席ごとにテレビがつく。そうなるとエムブラエル190は、もはやリージョナル・ジェットではない。3,000kmもの長距離を飛ぶような機材が地域航空機といえるだろうか。このようなエムブラエル190に適した路線は、全米で1,000区間くらいあるというのがジェットブルーの見方である。ニューヨークを中心に考えても50路線くらいは可能という。

 そのうえ190を使えば、運賃はさらに5〜6割も安くなり、需要を刺激して、市場は今の4倍に拡大することも可能とジェットブルーは豪語する。こうした動きは、リージョナル・ジェットがLCC市場へ入ってゆく突破口になることは間違いない。したがって今後は多数の追随者があらわれるもようで、すでにエアトランやフロンティア航空などがリージョナル・ジェットを発注している。こうしたことからLCCはさらに伸びて、利用者は2003年の2割余から5年後にはもっと大きくなり、米国内エアラインの45%を占めるという見方もある。

 とすれば、サウスウェスト航空もLCCの元祖というだけで、じっとしてはいられない。LCCの拡大とリージョナル・ジェットの増加に呼応して、これまでの737だけのフリートに加えて、大型リージョナル・ジェットの導入を検討中とも伝えられる。

革新的な役割を果たす

 もうひとつ170/190の目標とするところは、老朽機の代替市場である。エムブラエル社によれば2002年末現在、61〜120席の旅客機は世界中で2,052機が飛んでいたが、そのうち製造後20年を過ぎた機体は3分の1の689機で、そろそろ買い換えの時期になっているという。そこに大きな市場が存在するわけで、新たなリージョナル・ジェットの導入にもつながるであろう。

 最後に170/190ファミリーを日本の国内線に当てはめてみよう。エムブラエル社によれば、一般的に片道乗客数が1日315〜500人の路線は、ボーイング737やA319/320を飛ばすのに適する。1日4〜6往復ということになって、旅客の利便性も高い。ハブ空港が混雑し、スロットが取れないからといって、大型機で1日1〜2往復の運航をするのは、旅客にとって不便であり、そのために需要が伸びないといった悪循環が生じる。

 とすれば、1日の片道乗客数が315人以下の路線であれば、737よりも小さい機材が必要になる。エムブラエル機でいうならば、片道乗客数が1日150〜315人の路線では170/190、105〜150人の路線ならば50人乗りのERJ-145が3〜4往復をするのに適するということになる。

 そこで日本では、2001年の統計によると、国内322路線の74%、すなわち4分の3が1日400人以下の路線であった。上の区分とはややずれるけれども、相当数の路線がリージョナル・ジェット向きといえるのではないだろうか。そこに大型機が飛んでいるとすれば、乗客には不便であり、航空会社には無駄が生じていることになる。

 かくて今、リージョナル・ジェットは航空界の至るところに変革をもたらしつつある。その先頭に立つのがエムブラエル170/190ファミリーである。

 今年2月9日、190のロールアウトに際して、わざわざブラジル大統領が出席したのも、同機がブラジルの科学技術や産業経済に大きく貢献すると同時に、世界の航空界にも変化の波を起こすという将来の意義を認めてのことであった。大統領は「エムブラエル社は偉大な仕事を成し遂げた。ブラジルが科学技術にすぐれた近代国家であることを世界に示した」と祝辞を述べた。

 かくて、エムブラエル170/190ファミリーは、リージョナル航空のみならず、大手エアラインから格安エアラインに至るまで、世界の航空界のあらゆる分野で革新的な役割を果たすこととなるであろう。

年月日

出  来  事

1969.8.19

国営エムブラエル社発足

1994.12.7

エムブラエル社民営化

1995.8.11

ERJ-145初飛行

1996.12.16

ERJ-145型式証明取得

1997.6.17

アメリカン・イーグル、ERJ-145を確定42機、仮25機発注

1998.7.4

ERJ-135初飛行

1999.2.11

170/190の開発計画発表

2002.2.19

170初飛行

2003.6.10

米ジェットブルー航空、190を100機発注し、さらに100機を仮発注

2003.6.14

175初飛行

2004.2.19

170ブラジル政府の型式証明取得

2004.2.20

170FAAの型式証明取得

2004.2.24

170欧州型式証明取得

2004.3.8

170引渡し開始

2004.3.10

エムブラエル170初来日

2004.3.12

190初飛行

2004.3.23

米リパブリック航空、170を50機発注(うち確定13機)

(西川 渉、『航空情報』2004年7月号掲載、2004.5.31)

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