<燃料高騰>
一喜一憂のエアライン 先週、一時的ではあろうが、突如としてヨーロッパの石油市場で原油価格が1バレル119ドルに下がった。このためロンドンの株式市場では英国航空の株価が急上昇した。同様にパリではエールフランスKLMの株価が上がり、ダブリンでは格安航空ライアンエアの株式会社も上がった。ライアンエアは最近の燃料高騰のため倒産のおそれもささやかれていたところである。
これまでの石油価格は、最高値が146ドル、平均でも126ドル程度であった。今回の下げが一時的なものか、恒久的なものか、まだ分からない。
むろん恒久的な値下がりとは思えず、英国航空(BA)もスペイン・イベリア航空との合併に関する話し合いをつづけている。その一方で、アメリカン航空(AA)との提携についても近く何らかの形をととのえるもよう。
BAとAAの両社が提携すると、たとえばロンドン・ヒースロウ空港ではアメリカとの間の定期便の半分以上を2社で占めることになる。そのため独禁法に触れるとして、これまでは政府の承認が得られていない。しかし今や、欧州連合(EU)と米国との間でオープンスカイ協定が結ばれ、来年3月からEUのどこと米国内のどこを結ぶ路線も自由に飛べることになるため、条件は変わってきたというのが両社の言い分である。
米国は、外国人による航空会社の株式保有について厳しい制限を設けている。しかしBAとAAとはすでに空港施設を共用し、飛行便数を相互に調整しており、これに加えて発着時刻や運賃価額の調整をしても独禁法の対象から免除されるはずという。
一方、これと平行して進んでいるBAとイベリア航空との協議は、今後なお数ヵ月はかかるもようだが、最終的にはヨーロッパ当局の承認が得られるものと見られる。BAとイベリアは過去長年にわたって緊密な提携関係を維持してきた。
石油高騰により燃料コストの上昇はもとより、最近は世界的な景気の落ち込みから旅客需要も減ってきた。「今や最悪の経営環境」というのがBAの主張。
なお、今年に入って、この7ヵ月間のあいだに、世界中でエアライン25社が運航を停止した。IATAも今年はエアライン業界全体で23億ドルの損失を予測している。
特にアメリカのエアライン業界は、デルタ航空がノースウェスト航空を買収することになって、他のエアラインもさまざまな提携や統合を模索しはじめた。この動きは欧州にも広がりつつあり、やがては世界中を巻き込むことになろう。
(西川 渉、2008.8.11)
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