<ガイドブック>

ヘリコプターの奇蹟

 

 ヘリコプターにとって、人命救助は天命です。垂直に離陸し、空中に停止することのできる飛行特性によって、ヘリコプターは数々の奇蹟を演じてきました。とりわけ生命の危険にさらされた人を救うことは、最大の奇蹟にほかなりません。

 ヘリコプター救急体制の構築は、その奇蹟を日常化するものです。日常化によって奇蹟は奇蹟でなくなり、文字通り日常茶飯事となります。それがヘリコプターに命じられた天の理想でありましょう。

 しかし、その理想を実現するには医療と航空のきわめて緊密な協調と融合がなされなければなりません。しかも、この二つの分野は、それぞれに全く異なった、高度の知識と経験と技能を必要とし、その上に立って複雑な体系が組み上げられています。

 そうした二つの分野を一つの目的に向かって、如何にして融合し統合してゆくか。本書は、その課題を両分野の多くの専門家が解き明かしたものです。その的確な案内にしたがって、これから充分にヘリコプターを使いこなしてゆくならば、ヘリコプターの奇蹟は日常的に至るところで見られるようになり、危機に瀕した人びとの蘇生と救命の効果ははるかに高まることとなりましょう。

 ヘリコプターの奇蹟が奇蹟でなくなる日の、1日も早からんことを願ってやみません。

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(西川 渉、「ドクターヘリ導入と運用のガイドブック」所載、2007.10.18)

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