<エアバス・ヘリコプターズ>

新しいH160の開発へ 

 

 3月3日、国際ヘリコプター協会(HAI)の年次大会がフロリダで始まった。インターネットを見ているだけでも、いろんなニュースが入ってくるが、その中でエアバス・ヘリコプターズ社の発表したH160ヘリコプターが注目される。これまでX4の名前で試験飛行をしてきた実験をいよいよ実用段階にもってゆこうというのだ。

 これは現用ドーファンの後継機となるもので、乗客12人乗り。アグスタウェストランド社の評判の高いAW139に対抗する。

 主ローターは騒音の小さい「ブルーエッジ」と呼ぶブレードが5枚。2重の後退角がついた特異な形状は、騒音をドーファンの半分まで減らし、飛行速度を上げ、さらに揚力を高める。

 尾部ローターはフェネストロン。12°の傾斜があるのは離着陸を容易にし、ホバリング性能を向上させるためという。その前方には上下2枚の翼から成る複葉の水平安定板がつく。操縦系統にはエアバス社の開発になるアビオニクス「ヘリオニクス」を組みこむ。

 胴体は全て複合材製で軽量化をはかり、その分だけペイロードが大きくなる。総重量は5.5〜6トンというから、AW139の6.8トンよりもやや小さい。降着装置は電動式――油圧方式よりも軽くて安全とか。

 エンジン出力は1,100〜1,300shpのターボメカ・アラノ1AやPW210Eが候補とされているが、最終的にはアラノ(1,200shp)2基になるもよう。

 飛行性能は巡航速度が160ノット(296q/h)という高速。高度1,500mを飛んで、航続距離は800km以上。


この図は胴体と主ローターの形状はよく分かるが、
尾部の複葉水平安定板が描かれていない。

 フロリダで開催されたHAIショーでは実物大のモックアップが展示され、きわめて滑らかな外観が衆目を集めた。今年中に初飛行し、原型3機で試験飛行を進め、2018年から実用化の予定。

 市場目標は海洋石油開発の人員輸送、警察、消防、救急、そしてVIP輸送など。石油開発の場合は、作業員12人を乗せて、洋上220kmの沖合いまで飛ぶことができる。ただし価格も未定で、注文を取るのは来年からという。

 なおエアバス・ヘリコプターズはここで、各機種の呼称を改めた。H160は新しい呼び名の最初だが、他の機種は次表のように変わる。

旧名称

新名称

備    考

EC120

H120

――

AS350B3e

H125

――

AS355

AS355

例外(ツインスター)

EC130

H130

――

EC135

H135

――

EC145

H145

――

EC155

H155

――

AS365

AS365

例外(ドーファン)

EC175

H175

――

AS332

AS332

例外(スーパーピューマ)

EC225

H225

スーパーピューマ

(西川 渉、2015.3.6)

 

 
尾部の水平安定板が複葉になっている

    

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