<ヘリエクスポ2004>

ドイツ警察へゆくMD902

―― ヘリコプター世界の動向(5) ―― 

  

 MDヘリコプター社(MDHI)は1999年初め、旧マクダネル・ダグラス社からボーイング社を経て、オランダ資本に買い取られた。以来5年間、世界で唯一のノーター・ヘリコプターをつくってきた。

 現在生産中の機種はMDエクスプローラー、MD600N,MD520N、MD530F,MD500Eの5種類だが、このうちエクスプローラー、600N、520Nの3機種がノーター機構を持つ。その特徴は、ここにいうまでもなく、尾部ローターがないために安全性が高いことと、騒音の静かなことである。

 2003年の引渡し数は15機だった。内訳はMDエクスプローラーが8機、MD600Nが1機、MD530Fが3機、MD500Eが3機である。予定には届かなかったが、2002年よりも多く、25%増となった。今年は30機以上の生産を計画している。

 ヘリエクスポの会場には、独シュツットガルト警察向けのMDエクスプローラー軽双発機が展示されていた。同警察から受注した5機のうちの最終号機である。

 展示機は1機だけだったが、ほかにMD600N,MD520Nなどが近くのラスベガス空港で試乗デモ飛行をしていた。

 MDHIは会期中にブラジルからアマゾンのジャングル地帯でチャーター飛行をするMD600Nを1機受注した。またロシアからもMD520NとMDエクスプローラー1機ずつの注文があった。

(西川 渉、『航空情報』と『エアワールド』の各2004年6月号掲載記事に加筆) 

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