<ヘリエクスポ2004>

ロビンソン今年も生産数トップ

―― ヘリコプター世界の動向(6) ―― 

  

 ロビンソン社は2003年422機を出荷し、同社史上最高の生産を記録すると共に、ヘリコプター・メーカーの間でも最多数を記録した。他の小型ピストン機はシュワイザー社が38機、エンストローム社が7機。

 ロビンソン422機の内訳は、2人乗りのR22が128機、4人乗りのR44が75機、そして燃料噴射式の4人乗りR44レイバンUが219機である。これで同社の売上高は1億ドルを超えた。2004年の実績も、さらに03年を上回る見込みという。

 レイバンUは2002年なかばから売り出されたものだが、これがロビンソン社好調の牽引機となっている。エンジン出力が増して高温・高地性能が良くなり、南アフリカやカナダでも使えるようになった。さらに速度が増し、ペイロードもわずかながら大きくなった。また28ボルトの電気系統がついてテレビ取材用の機器が使えるようになり、警察の特殊装備も可能になった。

 R44レイバンUは、今後エアコンの取りつけが検討されている。将来に向かってはエンジンをタービン化することも検討中といわれるが、ロビンソン自身は否定も肯定もしていない。

 上の機体はラスベガス近郊のマースド・カウンティ警察航空隊向けの4人乗りR44。この会期中に展示会場で引渡された。運航はシルバーステイト・ヘリコプター社へ委託される。

 機体には赤外線暗視装置(FLIR),カメラ、サーチライト、ビデオ・レコーダー、警察無線などが装備されている。エンジンは燃料噴射式のライカミングIO-540ピストン。巡航速度は最大209km/h、航続距離480km。


黄金色の塗装をしたR44ニュース取材機

 なおロビンソン社は、好調の波に乗って、R55(5座席)といった新機種の開発に踏み切るのではないかという話もある。エンジンは未定だが、ピストンに加えてターボシャフトやディーゼルも候補に挙がっている。ロビンソンによれば、それぞれに長所と短所があり、ターボチャージャーつきのピストンは機構が複雑、ターボシャフトは費用が高く、ディーゼルは重い。3種類のうちではディーゼルが良さそうだが、重量問題を解決するのに時間がかかるとして、まだ具体的な決定には至っていない。

 

(西川 渉、『航空情報』と『エアワールド』の各2004年6月号掲載記事に加筆) 

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