<HELI-EXPO 2005>

ベル407XとARH 

  

 ベル・ヘリコプター社は407軽タービン・ヘリコプター(7人乗り)の改良型407Xの開発計画を発表した。

 現用407のエンジンを、今のロールスロイス250-C47B(813shp)から新しいハニウェルHTS900(925shp)に改め、飛行性能の向上、整備費の軽減などをはかるというもの。

 特に標準大気状態(ISA)プラス35℃の高温時には、エンジン出力がこれまでより42%高くなって、飛行能力が改善される。エンジンのオーバホール間隔は3,000時間。将来は5,000時間をめざしている。

 ベル407は1996年2月の型式証明取得から最近までに625機が引渡された。1997年と98年には年間140機を生産するという人気の高さを誇る。用途は警察、救急、報道、社用ビジネスなど、さまざまな分野で使われている。最近までの累計飛行時間は125万時間。最も多く飛んだ機体は1万時間を記録した。


売れ行き好調のベル407


407Xに装備する新しいエンジン

 この新しい407Xは、一方で軍用モデル417の呼称により、米陸軍の武装偵察ヘリコプター(ARH:Armed Reconnaissance Helicopter)をめざしている。ARHは昨年末、陸軍が提案要求(RFP)を発したもので、ベル社は2月初め見積もり提案を出した。この提案にはロッキード・マーチン社も協力している。

 HAI大会では、そのモックアップがベルARHとして展示された。ベルARHはC-130に2機ずつ搭載して遠隔の戦場へ輸送することができる。目的地では輸送機から降ろして15分で飛行可能。

 こうした小型武装ヘリコプターについては、ベル社はOH-58Dウォーリアの実績があり、これまでに110万時間を飛んでいる。そのうち戦闘飛行時間は20万時間。


胴体左右に火器を装備したベルARHのモックアップ

 ベル社の動きに対して、オランダ資本のMDヘリコプター社(MDHI)はMH-6MをもってARH提案競争に参加する予定。これにはボーイング社が支援し、ローター・ブレードや操縦席の改良をおこなう。

 MH-6MはMDHIのメサ工場で製造され、隣接するボーイング社のAH-64アパッチ工場で軍用機としての装備をする計画。


ARHへの変身なるかMD500N

 米陸軍はARHの選定を今年6月におこなう予定。採用機数は少なくとも368機で、2006〜2011年の間に納入される。

 こうしたARHの動きは先に開発中止となったコマンチ武装偵察機の代わりとなるものである。

(西川 渉、2005.2.23)

 

(表紙へ戻る)