<HELI-EXPO 2005>

アグスタ・グランド

  

 アグスタウェストランド社はHAI大会で、目下開発中のA109Sグランドのキャビン・モックアップを展示した。機内は救急仕様であった。

 グランドは、昨夏のファーンボロ航空ショーで開発計画が明らかにされた軽双発ヘリコプターである。外観は現用A109に似ているが、胴体をやや引き延ばして機内を広くし、標準座席数は8人乗り。

 用途はVIP輸送、救急、捜索救難、石油開発など、さまざまだが、VIP乗用機としては6〜7人乗り、救急機としては患者ストレッチャー2人分と医療スタッフ2人の搭乗が可能。

 最大離陸重量は3,175kg。自重は1,655kgで、PW207Cターボシャフト・エンジン(815shp)2基を装備、巡航290q/hの高速で航続870kmを飛ぶことができる。カテゴリーAの運航も可能。

 アグスタウェストランド社では運航コストが安くて、経済性の高いことも特徴の一つに上げている。たとえばダイナミック・コンポーネントのオーバホール間隔(TBO)が長く、飛行時間あたりの整備工数も少ないので、直接運航費の中の変動費は1時間あたり615.24ドルという。

 もうひとつの特徴は、騒音の小さいこと。これは主ローターも尾部ローターも複合材のブレードを使い、先端の平面形と翼型に工夫を加えたためで、ICAOの騒音規制が進入時95.0デシベル、出発時92.0デシベルであるのに対し、グランドはそれぞれ89.4デシベル、89.3デシベルと下回っている。

 2007年までに型式証明を取って、引渡しに入る予定。


グランドの救急仕様モックアップ内部

(西川 渉、2005.2.25)

 

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