<HAI年次大会>

EC175のモックアップ公開

 

 

 ユーロコプター社は2月24日、ヒューストンで開催中のHAI大会で、新しいEC175のモックアップを公開した。16人乗りの民間向け双発ヘリコプターで、すでに英ブリストウ・ヘリコプター社とカナダのVIHアビエーション社から注文を受け、運航者としての要望が設計の中に盛り込まれている。

 同機は中国との共同プロジェクトで、2005年12月5日の契約調印によって開発がはじまった。1年後の2006年12月5日に予備設計が承認され、2007年12月5日に設計仕様が確定した。これで原型1号機の製造が始まり、2009年に初飛行し、2011年に型式証明を取る予定。ただし初飛行と型式証明が、それぞれ12月5日を目標としているかどうかは不明。

 いうまでもなくヒューストンはアメリカの石油産業の中心地である。ここで海洋石油開発支援を主な用途とするEC175を初公開できるのは非常に意義が深いとユーロコプター社は考えている。


HAI大会会場に展示されたEC175のモックアップ

 EC175の共同開発の相手はハルビンの中国航空工業第2集団公司(Avic II)。双方半々の資金負担だが、技術面ではユーロコプター社が主導的な立場にある。

 EC175ヘリコプターの特徴は、PT6C-67Eターボシャフト・エンジン2基を装備、主ローターはEC155やEC225の実績にもとづく5枚ブレードのスフェリフレックス構造で、振動が少ない。とりわけ騒音は、機外、機内ともに小さい。機体は耐衝撃性が高い。

 キャビンは同級機の中では最も大きく、床面は平らで、乗客16人がゆったりと乗れる快適性をそなえる。胴体両側には大きなスライド・ドアがつき、窓も大きくて視界が広い。

 最新設計のコクピットはパイロット2人乗り。計器パネルには6×8インチの液晶ディスプレイ4面がつき、自動操縦装置をそなえる。これで、すぐれた操縦性と安全性を発揮する。

 長距離の洋上飛行のためには緊急用フロートを装備するほか、12〜18人乗りのライフラフト(救命いかだ)2つを搭載している。


洋上の石油開発リグへ飛ぶEC175の想像図

 こうしたEC175は、真正面からイタリアのアグスタAW139に闘いを挑むものといえよう。EC175について、ユーロコプター社はすでに88機の予約注文を受けているという。

 また他のユーロコプター機について、同社はHAI大会の初日だけで100機の受注を発表した。内訳はEC120などの軽単発機が79機、EC135とEC145が合わせて12機、ドーファン中型双発機が8機、EC225大型機が1機。

(西川 渉、2008.2.27)

(表紙へ戻る)