<本のしおり>

日本を滅ぼす高学歴代議士

 先日、自民党のなんとかいう女代議士が男の秘書に暴行を加えたり、暴言を浴びせたりしたときの声がテレビで放送された。やくざがヒステリーを起こせばこうもなるかと思われるような、恐ろしくも汚(けが)らわしい言葉遣いで、聞くに耐えない暴言が続いた。多くの視聴者が耳を抑えるか、テレビの「消音」ボタンを押したにちがいない。

 聞けば、この女、東大法学部を出て厚生省に入ったあと、国の費用でハーバード大学院に留学。そこを修了した後、2012年に衆議院議員に当選したという。

 そこで、『日本経済を滅ぼす「高学歴社員」という病』(上念司、PHP研究所、2017年6月23日刊)の説くところだが、組織の中の高学歴者は先輩の過ちを否定したり、修正しようとしない。あとで自分の地位が高くなったときに、後輩から追求されぬようにという本能が働くかららしい。つまり心地よい「ぬるま湯」の中で生きながらえ、国や会社のためには何の役にも立たぬまま出世の階段を上ってゆく。したがって、その本能に部下や下請け企業が少しでも触れようものなら、狂ったように拒絶し、攻撃してくる。

 そういえば、恐らくは高学歴の社員から成る朝日新聞社なども例外ではあるまい。この新聞が「慰安婦問題」なる「フェイク・ニュース」をスクープと称して報じ始めたのは1991年であった。その後長きにわたって社内の誰もこれを訂正しようとせず、20年以上もウソを流しつづけ、みずからデッチ上げた日本の冤罪を世界中にまき散らしてしまった。20年前の日本にトランプ大統領がいなかったことを、ただただ口惜しく思うばかりである。

 こうした連中にくらべて、今の安倍晋三首相を見よ。東大やハーバードを出たわけではないが、それだけに連中のような「安定志向」に甘んずることなく、リスクをかけて、たとえば「憲法改正」という戦後70年の最大の課題を推進しつつある。是非とも実現して欲しいものだ。

 ところで、本書によれば医療の世界には「TKKに気をつけろ」という言葉があるらしい。TKKとは東大、京大、慶応のことで、その出身医師たちはプライドが高すぎて、病院のお荷物になるんだとか。中には採血すらうまくできず、看護師に注意されると精神的にへこんで出勤拒否の結果、病院を去っていく人が多いと書いてある。

 あの女代議士も事件の後、自民党に離党届を出したようだが、それだけでいいのか。当然のこと代議士を辞めて議会を去っていくべきであろう。

 そんなことを考えさせてくれるのが、上念司の快著である。

(野次馬之介、2017.5.31)

      

 

  表紙へ戻る