<ILA2010>

ベルリン航空ショー

 先週は1週間ドイツに行き、ミュンヘン、ベルリン、ボンの3都市を訪ねました。目的はHEM-Net活動のための調査行で、山野豊さんと一緒でした。

 ドイツは今年ヘリコプター救急の開始から40周年にあたり、それを記念するシンポジウムが開催されました。会場はベルリン航空ショーILA2010の一角で、したがって航空ショーを見ることにもなりました。

 その後、ボンに飛んで、ドイツ自動車クラブ(ADAC)のヘリコプター救急事業部が昨年開設したHEMSアカデミー、すなわちヘリコプター救急医療の訓練所を見学しました。EC135の飛行シミュレーター、救急装備をしたEC135の実物大モックアップ、さらに病院の救急治療室などを模した極めてリアルな先端施設があって、運航と医療の両面の訓練ができるようにしつらえてありました。

 その前に、ミュンヘンでは最初の救急ヘリコプターが40年前に飛んだハラヒン病院を訪ねました。ここは、これまでも何度か行ったことがありますが、昨年、格納庫や待機室が改築され、全体が大きく広くなったばかりでなく、乗員のためのホテルのような宿泊設備もできておりました。

 そして、こうしたヘリコプター救急の創始者のひとり、故ゲアハルト・クグラーさんの墓所にも参拝してきました。クグラーさんは昨年11月3日に亡くなったわけですが、墓地はミュンヘン郊外の亭々たる樹木の間で小鳥の声がひびきわたる森の中にありました。 

 ドイツのヘリコプター救急は日本でもよく知られております。しかし、その実態は今なお改善と進歩がつづいていることを感じました。特に安全に関しては、アメリカの事故多発の例があるだけに、質的な向上――すなわち運航面の安全と治療面の効果に努力していることがうかがえました。

 旅行の詳細については、今後本頁でも取り上げてゆくつもりですが、取り敢えずベルリン航空ショーのもようを写真でご覧いただきます。


ドバイに本拠を置くエミレーツ航空は
この会場でA380について32機の追加注文を出し、観客を驚かせた。
これで同航空のA380発注数は90機となった。
音に聞く豪華な機内を見せて貰いたいと思ったが、
申し込みが多くて、われわれの番は回ってこなかった。


 ルフトハンザ航空初のエアバスA380。
この超巨人機は6月11日フランクフルト発の第1便を
成田空港へ飛ばし、毎週3往復の定期運航を始めた。
8月4日からは2番機を受領して毎日運航になる。
また8月25日からは北京へも毎週3往復の定期運航を開始する。
ルフトハンザ航空は今年中に4機のA380を受領する計画。
客席は526席。うちファースト・クラス8席、
ビジネスクラス98席で、乗員は22人。
日本の航空会社がなぜ、この巨人機を導入しないのか。
議論を始めると長くなるのでやめておくが、まことに不可解である。


欧州の最新鋭戦闘機タイフーン


スェーデンの戦闘機サーブJAS39グリペン


メッサーシュミットMe262双発ジェット戦闘機。
第2次大戦時のドイツが開発した
史上初めての実用ジェット機として
1944年7月から実戦配備についた。
エンジン推力は900kg×2基。最大速度868q/h、航続1,050km。


メッサーシュミットBf109戦闘機。
横で見ていた見知らぬドイツ人が、こちらを日本人と見てか、
ゼロ戦はこれのコピーだと云いだした。強く否定しておいたが、
なおも色んなことをいうので、危うく喧嘩になるところだった。


ショーの最後はスイス空軍6機のF-5Eジェット戦闘機から成る
パトロワイユ曲技飛行チームの華麗な演技。
大きく高速で飛び交う飛行ぶりを素人写真でとらえるのは
なかなかにむずかしい。

(西川 渉、2010.6.15)

 

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