<国際航空宇宙展>

JA2004で見たヘリコプター

 

 10月6日からパシフィコ横浜で始まった日本航空宇宙工業会主催の「国際航空宇宙展」(Japan Aerospace 2004)を見学した。沢山の展示の中から、ここにヘリコプター関連の話題を記録しておきたい。

 上の写真はヒロボーの開発になる小さなラジコン・モデルが会場内を飛んでいるところ。長さ30センチくらいの機体はアルウェットUの恰好だが、ローターだけが二重反転式。したがって尾部ローターは不要で、一種の飾りみたいになっている。なおヒロボーとは、昔の広島紡績のこと。社長さんの趣味が高じて、今や模型機と無人機のメーカーになってしまったとか。

 ベル47G-2は「ヘリコプター歴史保存協会」(阿部和彦代表)の出品。「羽田航空宇宙科学館推進会議」(会長:斉藤茂太先生)と共に、将来、羽田空港に航空博物館をつくり、そこに展示されることを願っている。

 ヤマハ発動機の無人機R-MAX。農薬散布気として1,500機ほど飛行中。

 三菱MH2000は日本航空宇宙開発機構(JAXA)が研究用に飛ばしているもの。展示された機体には、機首に乱気流を検知するドップラーライダーが取りつけてあり、将来はこれで山合いの谷間の乱気流を検知しながら降下してゆき、遭難者を助けたりするのに使うという。 

 1人乗りのGEN H-4同軸反転機。写真中央に立つ柳沢源内氏の開発になるマシーンで、1〜3時間の訓練でホバリングができるようになる。なお源内氏のお名前は、江戸期の発明家にちなむペンネームかと思っていたら、本名だそうである。写真右端は航空宇宙工業会の上村誠調査部長。

 

 ユーロコプター社はEC120(5人乗り)と写真のEC130B4ワイドボディ機(7人乗り)を展示した。今回ヘリコプター・メーカーの中では最も力(リキ)が入っている。

 余談ながら、6日夜には駐日フランス大使公邸で、ユーロコプター社の弱冠41歳というファブリス・ブレジエ社長を中心に、ベルナール・ドゥ・モンフェラン大使の主宰によるレセプションが開かれた。私もご相伴にあずかったが、日本の在外公館などはこうした催しをやってくれるのだろうか。日本政府のお役人も大勢きていたようだが。

 

 これもユーロコプター社がわざわざ欧州から持ってきたNH90のモックアップ。キャビンの天井は標準型よりもやや高い派生型の「ハイキャビン」。スウェーデンから受注したもので、スウェーデン兵の背が高いわけではなくて、後部ランプドアから重量貨物を引きこむための荷役装置か何かを取りつけるためらしい。

 なお、先週の英『フライト・インターナショナル』誌(2004年10月5日号)によると、NH90は将来、民間機としての型式証明取得をめざすという。海底油田の開発支援機とVIP輸送用を想定しているもよう。石油開発は、ここまで原油価格が上がってくると活発になる可能性があり、ヘリコプター業界が色めき立つのも無理はない。NH90の最近までの受注数は357機。

 また同じ『フライト』誌の記事は、ユーロコプター社が今のドーファンとスーパーピューマの中間を埋める総重量6.5トン前後の新しいヘリコプターの開発を構想中と書いている。それを韓国と共同開発するらしい。 

 

 アルファ−アビエーションのロビンソンR44。ロビンソン社は昨年、R44とR22を合わせて422機を生産し、世界で最も多くのヘリコプターを生産するメーカーとなった。

 ベル・アグスタAB139。三井物産エアロスペース社が展示したモックアップ。昨年6月イタリア航空局の型式証明を取り、量産1号機は12月イタリアのエリアリオ社に引渡された。米FAAの型式証明も間もなく取得、2005年から本格的な量産と引渡しが始まる。最近までの受注数は約80機。

 

 会場から車で5分ほどの横浜ヘリポートでは、EC120とBK117(ドクターヘリ)がデモ飛行をしていた。筆者も、この写真のEC120に乗せて貰ったが、10月8日の横浜の空は前日の快晴とは打って変わってモヤが立ちこめ、残念ながら綺麗な写真が撮れなかった。 

(西川 渉、2004.10.9)

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