<大型旅客機>
受注数減少 エアバス社の大型ジェット旅客機は11月中の受注数が84機、取消し3機となった。これで2008年1〜11月の総受注数は878機、うち122機が取消しとなり、純受注数は756機となる。取消しの半分余り、65機はアメリカの倒産したスカイバス航空からの注文であった。
また11月末までの引渡し数は437機。うちA380は9機となった。
一方、ボーイングの受注数は10月末までに639機であった。そこで10月末までの両社の総受注数、および前年までの年間受注数は下表のとおりである。
この表で見るように、2005年から急増した大型ジェット旅客機の受注数は昨年までの3年間、年間2,000機以上、もしくはそれに近い注文を得てきたが、今年は昨年の3〜4割減となるもよう。
年 エアバス ボーイング 備 考 2001 375 335 年間の総受注数
2002 300 251 2003 284 240 2004 370 377 2005 1111 1029 2006 824 1050 2007 1458 1423 2008 794 639 10月末までの総受注数
なお、エアバス社の各旅客機の現状は以下のとおりである。
エアバスA318 双発の狭胴機で乗客107〜129人乗り。初飛行は2002年1月、型式証明は2003年5月に欧州JAA、その1ヵ月後に米FAAから認められた。引渡し開始は2003年7月。
エンジンはVFM56かPW6000が2基で、推力9,800〜10,800kg。生産数は2007年末までに53機。今後は2017年までに93機が製造される見こみ。
A319/A320/A321 この3機種に上のA318を加えて、A320ファミリーを構成する。基本モデルはA320で、1987年2月に初飛行、88年から引渡しがはじまった。ストレッチ型A321の引渡しは1994年、短縮型のA319は96年からであった。
エンジンはCFM56かV2500。標準座席数はA319が124席、A320が150席、A321が186席で、ボーイング737と直接競合する。
2007年末までの引渡し数は、A319が1,035機、A320が1,827機、A321が422機であった。2017年までの10年間には合わせて3,544機が生産される予定。
エアバスA330 双発ワイドボディ旅客機。旧来のA300やDC-10ー10、L-1011の後継機をねらって、1992年11月に初飛行した。引渡しは93年12月から。
エンジンはGE CF6-80E、PW4000、またはロールスロイス・トレント700のいずれかを搭載する。推力は29,000〜32,600kg。
派生型は3種類で、A330ー300は2クラスで335席、3クラスで295席。またA330ー200は293席と253席。そしてA330ー200Fは貨物機である。
2007年末までの生産数は515機。2017年までの10年間には434機を製造する見こみだが、A350XWBの登場に伴って消えてゆくことになっている。
エアバスA340 4発の長距離用ワイドボディ旅客機。1991年10月に初飛行し、93年1月に量産機の引渡しがはじまった。エンジンはCFM56-5C4(推力14,150〜48,150kg)が4基。
最近は航続距離をさらに伸ばしたA340-500とストレッチ型のA340-600が飛んでいる。両機ともに、エンジンはロールスロイス・トレント500。
標準座席数はA340ー200が262席、ー300が295席、ー500が313席、ー600が380席。2007年末までの引渡し数は348機。今後は2008〜11年の間に35機が生産され、11年をもって生産終了の予定。
エアバスA350XWB 目下設計中のワイドボディ機で、ボーイング787と777に対抗する。新しいロールスロイス・トレントXWBエンジン2基を装備する。出力は33,500〜41,700kg。巡航速度マッハ0.85。
基本型はA350ー800、ー900、ー1000の3種類があり、客席数は276〜369席。航続距離は14,800〜15,300km。
ほかに超長距離型のA350ー900Rと、貨物専用のA350ー900Fが計画されている。
2013年から就航し、2017年までに433機の製造を予定している。
エアバスA380 525人乗りの超大型旅客機。2005年に初飛行した。エンジンはロールスロイス・トレント900またはGEとプラット・アンド・ホイットニーのGP7200。出力は31,750〜34,700kgが4基。最近までに上述のとおり9機が引渡された。2017年までに323機の生産を予定している。
(西川 渉、2008.12.12)
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