<小言航兵衛>
果たしてうまくやれるか 今週の英エコノミスト誌は、鳩山退陣後の後継者問題を取り上げ、「彼はできるだろうか」(Can he do it?)という記事に"Kan he do it?"という見出しをつけて笑わせてくれる。
まだ菅直人首相誕生前の6月3日号で、予測記事だが面白い。なにしろ日本の首相はいずれも短命で「この20年間に3年以上つづいたのはカリスマがかった変人小泉首相だけ。日本人のせっかちで飽きっぽい性格をよく表している」と書く。
しかも小泉が2006年9月に5年5ヵ月と1日の任期を終わって以来、わずか3年8ヵ月の間に阿倍、福田、麻生、鳩山と4人が舞台に上っては引きずりおろされたり、みずからつまづいて転落したりしてきた。いずれも、かつての首相の孫や子供ばかりで、江戸時代の世襲制度、それもひ弱な家系を見るような気がする。
そこで今、菅が舞台に上るかと思われるが、彼は幸か不幸か、そうした家系の出ではなく、頑固な意志をもって政治のはしご段をよじ昇ってきた男である。とりわけ1996年、厚生大臣のときに薬害エイズ問題を徹底究明したことで、その手腕が知られる。しかし、これから首相になったとして、旧弊な政治手法にたけた小沢一郎の影をどこまで振り払うことができるか。
以下、エコノミスト誌は新首相にふりかかるであろう問題をさまざまに示して、これらの解決にもたつくようなことがあれば、やっぱり彼もまた「小沢のあやつり人形」だったということになりかねないとオチをつける。
どうやら日本の政治は、われわれ国民のみならず、世界中から不信と不安の目で見られているようだ。新首相もエコノミスト誌に笑われぬよう、職責を全うしてもらいたい。
(小言航兵衛、2010.6.5)
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