<小言航兵衛>

コルサコフ症候群

  虚言ばかりの政党が政権を取り、無能な人物が首相の座にすわると、そんなときに限って大災害が起こる。阪神淡路大震災も東日本大震災もそうであった。

 後者の場合は原発事故まで併発したから、後始末はいっそう難しくなった。誰の責任かは知らぬが、フランスのアレバ社やアメリカのキュリオン社から故障続きの汚染水処理システムを売りつけられ、未だに汚染水は片付いていない。どころか、ますます漏水の量が増えて手がつけられなくなってきた。

 あの吉田昌郎所長がいなくなって、東京電力もここで踏ん張る人材がいないのではないか。試験成績の良い優等生ばかりを採ってきた大企業の病根が表面化したのである。なお、吉田所長については『死の淵を見た男』(門田隆将、PHP、2012年12月4日刊)に詳しい。何故か、こういう逸材に限って早く死ぬ。

 この状態を内心喜んでいるのが中国であろう。彼らは、こうした状況をとらえて、日本を「汚染国呼ばわり」してきた。それに対して「お前らにだけはいわれたくない」と書いているのは『衆愚の病理』(里見清一、新潮社、2013年6月20日刊)である。中国では「食べたり飲んだりしたら即死するような毒物入り食品が出回っていて、ついこの間は輸出までしていたではないか」。さらに「ネチネチと嫌味を言い続けたあげく、何かの時には金を毟り取ろうとするだろう」と。


(新潮社、2013年6月20日発行)

 著者は癌の内科治療を専門とする医師である。この先生によれば、アメリカで「ルーピー」(クルクルパー)と呼ばれた鳩山由紀夫はコルサコフ症候群を患っている疑いがあるという。

 この病気は健忘症の一種。過去の記憶と妄想の区別がつかなくなり、忘れた部分のつじつまを合わせるために「出任せで話をでっち上げる作話の症状が見られ、傍目には明らかに矛盾したことを平気で話す」のが特徴。それでいて、一見した態度は整っており,意識障害や痴呆もない。

 したがって多くの人がだまされ、患者の作り話をまともに聞いてしまう。ましてや、相手が一国の総理ともなれば、聞き流すわけにゆかず、反論も難しい。

 実際問題として、沖縄の米軍基地に関し、せっかく普天間基地を辺野古に移すことが自民党政権時代に合意されていながら、これをすっかり忘れて(病気だから)、県外移転から国外移転にまで話を広げ、大混乱をもたらした。そのうえアメリカの信用も完全になくしてしまった。

 その結果、首相を辞任し、選挙にも出ない。つまり、政界から引退すると云ったと思ったら、やっぱり出てくる。出ないと云ったことなど忘れているのである(病気だから)。

 あげくの果ては、今年6月、元首相の看板を高く掲げて中国へゆき、テレビの取材に応じ、尖閣諸島に関する日本政府の態度は挑発的で「中国側から見れば盗んだと思われても仕方がない」と発言して(病気だから)、日本ばかりか中国でも「売国奴だ」と指摘されたほど。民主党議員の中には「軽率極まる発言だ。彼を首相に擁立した1人として、恥ずかしさを禁じ得ない」と怒っている御仁もいた。しかし病人に向かって怒るのは筋ちがいというもの。むしろ憐れみをもって接し、怒る前に病人がふらふら出歩かぬよう、拘束しておかねばならない。

 航兵衛も、ルーピー発言を聞いたときは頭がグラグラしたものだが、今にして思えば、あれは病人のうわ言だったのだ。したがって民主党議員が恥ずべきは、売国奴を首相にしたことではなく、脳の機能障害をもつ病人を首相にしたことなのである。


コルサコフ症候群は酒の飲み過ぎによる
ビタミンB1の不足から発症することが多い。

 ところが民主党の脳病は次の菅首相にも感染したらしく、東日本大震災と福島原発事故が起こると、菅はヒステリー症状を呈して周囲を怒鳴り散らし、東電の進めていた放射能対策を混乱させ、作業の進捗を止めてしまった。

 あげくの果ては原子力発電を全て廃止し、太陽光発電に切り替えるという基本方針を言い出したが、「眼前のことを解決できない人間が将来のことを語っても胡散(うさん)臭いだけ」と本書は書く。ルーピー鳩山も菅のことを「ペテン師」と呼んだ。

 しかも、この方針切り替えは孫正義に吹きこまれたものらしい。過去のことや周囲の状況をすっかり忘れて、直前の言葉だけを憶えている。これまたコルサコフ症候群ではないかと思うが、本書は「だから菅直人は信用されない」と書いている。いっぽうで孫正義の太陽光発電も進んでいない。結局、この連中は全員が健忘症にかかってしまった。

 最後に航兵衛も、孫正義同様にホラを吹かせていただく。というのは、福島原発の汚染水を除去するために、その水を蒸発させてはどうだろうか。いつまでも汚染水を水のまま抱えこんでおくのも知恵のない話である。

 この際は、タンクに溜まった水を大きな釜に移して下からどんどん火を焚く。もっとも何百トンもの水を蒸気に変えるには、どのくらいの燃料が必要か。そのためのガスや電力が原発の発電量を超えてしまっては本末転倒になる。

 そこで熱量節約のために釜を密閉して内部の気圧を下げ、水温90℃くらいで沸騰させる手もある。さらに鏡やレンズを使い、太陽熱を釜に集中させて温度を上げる。

 これで汚染水は沸騰し、放射能を帯びない清浄な蒸気となり、釜の底にわずかな汚染物質を残して雲散霧消する。残った汚染物質も時間と共に放射能が半減してゆく。このあたりの仕掛けと実現のための方策を、ぜひとも専門家に検討してもらいたい。

(小言航兵衛、2013.8.28)


こんな病人が日本を指揮していたのだ。
きれいな音楽になりようがない。

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