<小言航兵衛>

抱きつき心中

 中国や韓国を批判する本がよく売れている。こんな現象はけしからんと、先日ある新聞が書いていた。そんな本を書くやつも買うやつも、けしからんというのだ。

 しかし、本当にけしからんのは、批判されるような言動をまきちらす中国や韓国であり、それを弁護し、日本を貶める新聞であろう。

 日本人は、多くの人が、このけしからん両国をなんとかして懲らしめたいと思っているにちがいない。にもかかわらず自衛権すら容易に認めようとしない風潮の中では、懲らしめる手段もない。やむを得ず言論の中で――つまり本を書いたり読んだりすることで鬱憤を晴らすほかはない。したがって本が売れるのである。

 今日ここに買ってきた『仲良く自滅する中国と韓国――暴走と崩壊が止まらない』(宮崎正弘・室谷克実、徳間書店、2014.6.30)もその一つである。

 冒頭から「今、中国と韓国は急速に世界から嫌われ、孤立化しつつある」と書いてある。

 その理由は中国の横暴かつ凶暴な振る舞いで、国際関係や国際法など頭から無視した傍若無人ぶりだ。たとえば日本の領空を侵す防空識別圏の設定、ベトナム領海での石油掘削、ベトナム漁船に体当たりして沈没させる、戦闘機による自衛隊機への異常接近、フィリピンのスカボロー礁やマビニ礁に勝手に軍事施設を建設するなどがある。こうした覇権的行動に対し、ASEAN会議も今年5月、中国を批判する共同声明を出した。

 アジア諸国ばかりではない。カナダは中国移民の制限に踏み切り、オーストラリアやニュージランドも投資移民の規制強化に乗り出した。欧州でもイタリア、フランス、オランダで移民排斥の声が高まっている。

 かくて世界から嫌われ、孤立化した中国について、『ワシントン・タイムズ』は「そして、中国の友人は誰もいなくなった」と書くに至った。


自衛隊機に異常接近した中国SU27戦闘機

 その中国に、ひとり揉み手ですり寄っているのが韓国だが、双方一緒になって日本の悪口を言い合っていたところに、セウォル号沈没事件が起こった。これで、旅客を置き去りにしたまま、船長が真っ先に逃げだすなど、モラルの低い身勝手な国民性と空虚な国家体制が露呈した。

 韓国が中国にすり寄ったのは「韓国人特有の奴隷根性」からだと本書はいう。最近の「沈むアメリカと昇る中国」をくらべて、中国につくのは当たり前という考え方である。これを大国に事(つか)える「事大主義」といい、昔から自分よりも強い主人にくっついて生き延びてきた韓国としては、そうでなければ気が休まらない。それが清、日本、ロシア、アメリカ、中国と、主人を次々に変える結果となってきたのである。

 最も滑稽なのは去る3月、オランダでおこなわれた日米韓首脳会談で、その1日前に韓大統領があわてて中国の習近平に逢いに行った。おそらくは何らかの言いわけをするのが目的だったのであろうが、これを韓国の「蝙蝠(こうもり)外交」という。

 それならば、中国は蝙蝠の止まり木として信頼できるのか。韓側は「中国は明るいと思いこんでいる」ようだが、実は目下、止まり木の根っこが腐り始めている。昨今の経済的な行き詰まりがそれで、たとえば中国のGDPは47%が不動産投資である。それによって7,700ヵ所の工業団地がつくられたが、そのうち700ヵ所は企業が1社も進出していない。したがって工業団地周辺に計画された30万都市、50万都市、100万都市も「その多くが無人のゴーストタウン」と化している。つまり「中国経済が成長を続けたからくりは、たんに箱物をつくっただけ」であった。

 かくて「両国の経済は、もはや取り返しがつかないほどボロボロになって」おり、いずれ両者共倒れも免れることはできないであろう。

 余談ながら、ゴーストタウンは中国語では「鬼城」という。しかし日本人には「幽鬼城」という方がピンとくるような気がする。「城」が「街」や「町」を意味することは、ご承知のとおり。

 韓国には「泣く子は餅を1個余計に貰える」という諺(ことわざ)があるとか。ダダをこねたもの勝ちという意味のようだが、そんないやらしいことをすれば、周りから嫌われることが彼らには理解できないのだ。2002年のワールドカップでは「ワーワーわめいてロビー活動をやって無理やり(日本との)共催に持ち込んだ」し、今年4月オバマ大統領が日本へくることになったときは、それを聞いた韓国が「ギャーギャー騒いで……強引に訪韓させた」のだった。

 このようにワールドカップの開催やアメリカ大統領の招致など、表向きの体裁にこだわる気質を、本書は「外華内貧」と呼ぶ。この四字熟語は韓国人みずからつくったもので、「外側は華やかだが、内側は貧しい」ことをあらわす。典型的な事例が顔の美容整形で、ソウルの50歳台以下の女性は、半数が整形手術をしている。そういえば、韓流ドラマに出てくる女優は勿論、男優までもが殆ど同じような人工的顔つきである。

 とはいえ最近は、韓流ドラマの人気がなくなった。他国へ持って行っても、人気の高まりはさほどではなく、韓側も「焦りに焦って」タダ同然で売りこんでいるらしい。日本で、何故あんなに人気が出たのか、まこと不可思議というほかはない。


詐欺ではないのか

 「整形大国」韓国を象徴するもうひとつの事例はセウォル号だ。日本の中古船を買ってきて客室を増築し、ペンキを塗り直して、本来はフェリー船だったものを旅客船のように整形する。というのは自称「造船大国」の韓国だが、貨物船はつくれても高級旅客船はつくることができない。その結果が、あの沈没事故につながったのである。

 この事故を見たローマ法王は「韓国人は……『倫理的・霊的』に生まれ変わるべきだ」といったそうだが、中国人も生まれ変わるべきである。

 というのは、中国は日本の技術提供でつくった新幹線を「自力開発の技術」と詐称して輸出までしようとしていた。ところが、自分で走らせていた列車は開業からわずか4年、2011年7月に死傷者200人以上の衝突事故を起こした。「いくら技術はパクっても、安全運用はできなかった」のだ。

 かくて、中国と韓国は、相思相愛の「抱きつき心中で崩壊する」というのが本書の主張するところである。

(小言航兵衛、2014.6.27)


沈没する整形国家の象徴

     

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