<伊メーカー>

アグスタからレオナルドへ

 

 イタリアのヘリコプター・メーカー、アグスタウェストランド社は今年1月からフィンメカニカ・ヘリコプター事業部に改称したと思ったら、今度はそれを「レオナルド」社に変えるという。ルネッサンス期の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの名前にちなむもので、正式には来年1月から新名称になるらしい。それまではレオナルド・フィンメカニカという名前で通すとか。なんだか混乱しそうだが、こちらにとやかくいう権利はない。

 フィンメカニカ社は2014年、新しいトップを迎えて、世界的な航空防衛企業をめざす戦略を展開してきた。その結果、2015年は収入が前年比2%増の130億ユーロ(約1.6兆円)となり、利益は25倍を超え、負債は17%減になったという。株価も、この1年余りの間に2倍近く上がっている。

 レオナルド・ダ・ヴィンチはヘリコプターの原理ばかりでなく、はばたき機、戦車、装甲車、外輪船、投石機、マシンガン、軍艦、潜水艦などの機械工学を初め、土木工学、建築、力学、数学、幾何学、解剖学、生理学、動植物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、光学などの分野に業績を挙げ、絵画や彫刻などの美術作品でも「モナリザ」や「最後の晩餐」など世界的、歴史的な傑作を残した。

 その万能ぶりを追って、生まれ変わるレオナルド社も、すぐれた製品を世界のヘリコプター界に送り出したいということであろう。


ヘリコプターの原理に関する
レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチとメモ

 ところで、日本では「ヘリコプターの日」が制定されている。まもなくやってくる4月15日がその日にあたり、1986年に全日本航空事業連合会が定めた。1452年4月15日のレオナルド・ダ・ヴィンチの誕生日を記念する日付である。30年前の当時は、それにちなむヘリコプターショーや講演会などのイベントが開催されたが、今では忘れられたようになっている。

 そこでレオナルド社の誕生をきっかけとして、同社が旗を振り、ヘリコプターの日を日本だけでなく世界的、国際的な記念日にするような運動を起こして貰いたいと思う。

 重ねてもうひとつ提案すると、レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチにもとづく小さなプラスチック模型をつくり、それを同社訪問客への記念品(ギフト)にしてはどうだろうか。

 実は、そんな模型が欲しいと思って、最近もインターネット通販で探してみると、木製の立派なものは1万円前後という高値だし、3,000円くらいの手頃なプラモデルは売り切れといった具合で適当なものが見当たらない。ギフトの方は売りものではないから、もっと小さく、野球ボールくらいの大きさが適当ではないか。

 今の残念な状況を、新しいレオナルド社に正してもらいたいと願っている。

(西川 渉、2016.4.8)

 

      

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