<初飛行>

スイス・マレンコ・ヘリコプター

 

 

 去る10月2日、スイスで開発中のマレンコSKYe SH09ヘリコプターが初飛行した。場所はチューリッヒ南東のモリス空港。20分間に5回の飛行を繰り返したが、これまで何ヵ月間か、地上で試運転を重ねてきた結果の飛行であった。

 このマレンコ・ヘリコプターは単発機ながら、飛行性能の良さをねらう新世代のヘリコプター。胴体、主ローター、尾部ローターなど、すべてが複合材製になっている。この複合材を多用しているのが大きな特徴のひとつ。

 エンジンは、強力なハニウェルHTS-900-2ターボシャフト(1,020shp)が1基。高温・高地性能にすぐれ、飛行性能は巡航速度が260q/h。標準燃料タンクで航続800km以上。機外吊り下げ容量は1トン半。総重量は2,650kgだが、機外吊り下げ時は2,800kgまで許容される。空虚重量は1,300kg。

 キャビン内部は床面が平らで、天井が高い。ここにパイロット1人のほか乗客7人の座席を取りつけことができる。またキャビン後方には大きな貝殻ドアがつき、救急患者のストレッチャーの出し入れも容易。

 操縦席はグラス・コクピット。視界が広いので、救急飛行から遊覧飛行まで、さまざまな用途に使える。尾部ローターはシュラウドの中にあるため、騒音が小さい。

 

 マレンコ・ヘリコプターは今年2月、ロサンゼルス近郊のアナハイムで開かれた国際ヘリコプター協会の年次大会に参加した。初飛行前の原型1号機が展示され、参会者の注目を浴びた。この時点で59機の注文を獲得している。標準価格は325万ドル。

 今後さらに原型2機を製作して、3機で型式証明のテストに臨み、遅くも2017年には量産機の引渡し開始予定。量産態勢は年間80〜100機をめざす。

 競合機はエアバス・ヘリコプターのAS350やベル407だが、座席数はそれよりも多い。

 日本ではエアロファシリティ社が代理店として販売促進にあたっている。同社は全国およそ100ヵ所のヘリポート建設を手がけ、米エンストローム・ヘリコプター社の代理店として、現在30機のTHー480B練習機を陸上自衛隊に納入中。

(西川 渉、2014.10.6)

【関連頁】

 マレンコ・ヘリコプター(2011.3.2)

 

  

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