<マリーン・ワン>

次期大統領機の選定

 

 

 ブッシュかケリーか――アメリカ大統領選に決着がついたと思ったら、今度はS-92かEH101か――大統領専用機の選定に関心が集まっている。

 というのも、本来はそろそろ結論が出るはずで、遅くもクリスマス前には採用機種が発表される予定になっていた。しかし昨日のニュースでは一と月ほど遅れて、1月末になるらしい。理由は明らかにされていないが、当然のことながら考えあぐねているのだろう。

 

 米大統領機は現在、シコルスキーS-61が使われている。それが老朽化して、買い替えの時期になった。そこで候補に挙がっているのはシコルスキーS-92とEH101の2機種。

 S-92はS-61の系列だし、アメリカ製でもあって、採用は当然というのがシコルスキー社の主張である。これに対してEH101は設計と開発こそ欧州でおこなわれたが、大統領機として採用になればUS101と改称し、アメリカ製の部品を大量に使ってアメリカで組み立てると公約している。

 さらに今週の「アビエーション・ウィーク」誌(11月15日号)は「バイ・アメリカよりもバイ・ベストを」と題して、アメリカ製品にこだわる必要はないという意見を掲載している。書いているのは米海兵隊を引退したフレッド・マッコークル中将だが、ヘリコプターの運航にあたるパイロット、整備士その他の技術者は、それが米国製であろうと何国製であろうと、いちいち気にしてはいない。

 気にするのは航空機としての品質であり、性能である。加えて大統領機ともなれば、何よりも安全性が重要である。機種の選定にあたっては、国籍や政治を気にすべきではないとしている。

 そして、この元中将さんは、海兵隊で過ごした34年余の経験と、パイロットとしての30機種以上の操縦経験から、むろんS-92とEH101も乗り較べた上で、EH101の方が機能も信頼性も高いと大胆な結論を語っている。

 次期大統領機「マリーン・ワン」の選定は最後の段階にあるが、周囲の論議はいよいよ騒がしくなってきた。

(西川 渉、2004.11.19)

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