NBAA2000

 ガルフストリームGV-SPの開発へ

 

 ガルフストリーム社は新しい長距離用大型ビジネスジェットGV-SPの開発計画を明らかにした。同機は現用GVの改良型で、乗客9人をのせ、12,500kmを飛ぶことができる。キャビン内部の大きさは競争相手のボンバーディア・グローバルエクスプレスよりも大きく、離陸距離は短い。それでいてニューヨークから東京まで、冬のジェットストリームに抗して飛ぶことができる。

 最大離陸重量は225kg増の41,277kg。これで18,730kgの燃料満タンでも810kgのペイロードになる。

 また巡航速度がマッハ0.83では航続11,600km、マッハ0.85では11,100km、マッハ0.87の高速巡航では9,250kmになる。実際には最大マッハ0.885を出しながら12,000kmを飛んだこともある。このようにすぐれた速度/巡航性能/ペイロードが発揮できるのも、主翼取りつけ部分の形状やエンジン・パイロンのフェアリングなど、20か所以上にわたって機体形状が空力的に洗練されたからとガルフストリーム社は主張している。

 エンジンはBR710ターボファンが2基。コクピットにはハニウェル社の新世代アビオニクス「プリマス・エピック」がつき、正面の計器パネルには4面の液晶画面が並ぶ。これでパイロットの労力が軽減されるばかりでなく、装備重量も45kgほど軽くなる。パイロットの操縦資格は現用GVと同じで、そのまま移行できる。手荷物室の容積は25%増加した。

 GV-SPの初飛行は2001年末、型式証明の取得は2002末の予定。機体価格は2,490万ドル(約27億円)で、装備品の価格を除いては今のG-Vと変わらない。

 

 こうしたGV-SPについてフラクショナル・オーナーシップ事業を展開しているエグゼクティブ・ジェット社は20機を発注した。2008年までに受領の予定。これで同社の発注したガルフストリーム機はGW-SP、GV、GV-SPの3機種合わせて81機になる。

 

 ガルフストリーム社では今年初め、GVの量産100号機とGWの量産400号機がそろってロールアウトした。GVは1997年なかばから実用に供されており、最近までの飛行時間は累計50,000時間を超える。受注数は170機余り。

(西川渉、2000.10.19)

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