<2018年>

明けましておめでとうございます

 この50年間、ほとんどヘリコプターのことだけを考えて生きてきました。そのうち最近20年くらいはドクターヘリが中心でした。

 そのドクターヘリも今や全国51ヵ所で飛ぶようになり、ほぼ行き渡った状態になりました。といって、これで充分というわけではなく、少なくとも全国70ヵ所、理想的には100ヵ所くらいは必要だろうと考えております。

 そもそも救急治療は一刻も早く開始することが重要です。そのためには医師と患者の迅速な出逢いが必要で、この時間差によって、患者さんが死亡したり、全快して社会復帰が可能になったりします。

 では救急患者は119番の電話をかけてから、どのくらいの時間で医師に逢い、治療を受けているのか。全国の救急車による病院収容時間を調べてみると、下表のようになります。

救急車による患者の病院収容時間(平成28年中)

ワースト10

ベスト10

東 京

50.6

富 山

30.2

福 島

44.5

福 岡

30.7

新 潟

44.2

福 井

31.9

千 葉

44.1

京 都

32.4

埼 玉

43.6

愛 知

32.4

岩 手

43.5

岐 阜

32.8

奈 良

43.0

石 川

33.0

茨 城

42.7

滋 賀

33.2

宮 城

41.1

大 阪

34.6

栃 木

40.6

香 川

37.7

〔注1〕病院収容時間の全国平均39.3分
〔注2〕救急車の現場到着時間平均8.5分

〔資料〕平成29年版救急救助の現況(総務省消防庁)

 この表に見るように、救急患者といえども治療が受けられるまでには30分以上の時間がかかっております。これを「レスポンス・タイム」といいますが、全国の平均は39.3分です。

 ただし、救急車が患者さんのところに到着する時間は全国の平均が8.5分で、これは救急隊の努力の賜物(たまもの)です。しかし日本では救急車に医師が乗っていませんので、その場で治療はできません。救急救命士は残念ながら医療行為が制限され、応急手当をするだけです。

 したがって、患者さんのもとへ救急車が駆けつけてから病院に送りこまれ、医師の治療を受けるまでに30分という長時間を要しているわけで、そこには病院の受け入れ拒否、救急車の「たらい回し」といった問題が存在します。ただし病院のほうにも医師の手が足りない、患者の症状に合う専門医がいない、ベッドの空きがないなど、それなりの理由があるわけです。むろん道路が混んでいれば、それだけで救急車の走行時間が長くかかります。

 そこへゆくとドクターヘリは、医師が直接現場へ飛んで、その場で治療を始めますから、このあたりの問題を多少とも解消することができます。患者の症状に合う専門病院へも距離がいくらか遠くても迅速に搬送することができます。

 なお、上の表に見るように、東京都の病院収容時間は全国で飛び抜けて最悪の状態にあります。にもかかわらず東京にはドクターヘリがありません。再来年のオリンピックに際して、世界中からやってくる要人や選手に何かあったらどうするのでしょうか。国際的な恥さらしにならなければいいのですが。

 話題を変えて、昨年の記録を調べてみますと、この1年間に私の購入した本は243冊でした。ちょうど3日に2冊ずつ買ったことになります。そのうち最後まで読み終わったのは70冊、29%です。とはいえ、残りの本も途中までは読んでおりますから、無駄になったわけではありません。

 購入した本の大半は電子図書です。これらの電子本を iPad で大きな文字にして読んでおりますが、大変読みやすく重宝しております。こうしたことから最近は書店の本が売れなくなり、駅前の本屋などはだんだん消えてゆく。電子本を買うのはやめようという呼びかけをどこかで読んだことがあります。

 たしかに本屋さんには気の毒ですが、古来、本の大敵は紙魚と女房だといわれます。電子本の出現はその問題をすっかり拭い去りました。電子本は家の中でかさばらないので、家人から厭がられたり、文句をいわれたりしない。そのうえ、最大の利点は紙の本にくらべて安い。これでは、誰もが電子本に傾いていくのは当然でしょう。、

 本の販売に関して、どのような法規があるのか知りませんが、欧米の本屋では、よく普通の本が割引き値段で売られています。それに対して日本では裏表紙やカバーに定価が印刷してあって、それよりも安く売ってはいけないらしい。古本屋は別として、町の本屋さんで安売りなどという光景は見たことがありません。しかし電子本には定価が印刷されているわけではなく、ネット書店が好きなように値段を決めていいのではないかと思われます。

 したがって多くの本は、まず紙の本はいくらという定価が表示されていて、電子本はそれよりも大抵ちょっと安い値段が示されています。そのうえ、これを買うと本の値段の1割か2割相当のポイントがつき、それを次の本を買うときに利用することができる。ときには5割のポイントがつくので、実質的には半額ということになる。本キチガイにとっては、まことに有難い仕組みができたわけです。

 この仕組みを利用するため、2011年9月に iPad を購入しましたが、その器械の調子がだんだん悪くなってきたため、昨年6月新しく大きな画面の iPad Pro へ買い替えました。今年も面白い本をたくさん読みたいと願っております。

 佳き年のご多幸をお祈りいたします。

(西川 渉、2018年元旦)


2017年11月、新幹線の車窓から見た冨士山

余談ながら、新幹線の切符を買うときは、
いつも山側の席を要求することにしています。
冨士山がよく見えるからです。
ちなみに上の写真は車中で電子本を読んでいた iPad で撮りました。

     

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