<パリ航空ショー>

民間向けティルトローター機BA609

 今年のパリ航空ショーには、ベル/アグスタ社が開発中の民間向けティルトローター機BA609が出場した。ただし飛行したのは最初の2〜3日間だけで、私の見た4日目以降は飛ばなかった。聞いたところではどこか不具合が生じたためらしく、まことに残念。いずれにせよ同機の公開飛行は、これが初めてのはずである。

他の屋外展示機と異なり、テントの中に大切におさめられたBA609
公開飛行に使われたのは、この原型2号機

 BA609はアメリカ側の原型1号機と、パリにきたイタリア側の2号機を合わせて、試験飛行時間が200時間に達したという。このうちベル社で飛んでいる1号機は完全遷移飛行を行ない、最大速度563km/h、後進および横進飛行速度64km/hを記録している。到達高度は最高25,000フィート。

 原型機は今後さらに2機が製作され、3号機は来年、4号機は来年末に初飛行の予定という。FAAと欧州の型式証明取得は2010年、量産機の顧客への引渡し開始は2011年の予定。

 もっとも、この日程にしても、イタリア側は開発資金を増やして作業を促進し、早く仕上げたいらしい。けれどもベル社の方が軍用ティルトローター機V-22の実用直前の段階で、BA609にはなかなか手が回らない状況。アグスタウェストランド社の積極性はここにもあらわれていて、主客転倒の感がある。

 BA609は何故か、実機のそばのテントにモックアップも置いてあった。具体的な商談をするためらしい。最近までの受注数は70〜80機とか。キャビン内部は乗客5人乗りのVIP仕様であった。

【関連頁】

 BA609原型2号機が初飛行(2006.11.21)

 BA609完全遷移飛行(2005.7.25)

(西川 渉、2007.7.4) 

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