<パリ航空ショー>

超巨人旅客機A380

 エアバスA380はパリ航空ショーの会場で13機の追加注文を受けた。うち3機はカタール航空からの注文で、同航空のA380発注数は5機になった。また8機はエミレーツ航空からで、同航空のA380は55機となった。さらにエールフランスもA380を2機追加している。

 こうした受注を含めて、エアバス社がショーで獲得した注文は総計548機という記録破りの機数となった。これで昨年以来、A380の引渡し遅延やA350XWBの設計見直しなどで苦況に立たされていたエアバス社は大きく息を吹き返すことになった。

 A380は昨年12月12日に欧州航空当局(EASA)と米FAAの型式証明を同時に交付された。これで商用飛行も可能となったが、コンピューター・ソフトの開発が難航し、電気系統の配線に手間取って、上述のように引渡しが遅延した。しかし今年10月には量産1号機が完成し、シンガポール航空へ引渡される予定である。

 A380の型式証明交付までに航空当局は2003年以来800回以上の会合をおこない、1,500点を超える文書を審査してきたという。


離陸直後の急上昇――角度は40°程度か

 A380は量産遅延のために、今や430機を売らなければ採算に合わない計算となった。現状はおよそ170機の受注で、これが3倍まで増えなければならない。なかなか大変なようだが、ボーイングの予測では400席以上の巨人旅客機は今後20年間に960機の需要があると見ており、A380にも希望は持てるところである。


ショー会場の上を悠然と旋回するA380
旋回半径が小さく、エンジン音が小さいために、
音を消したスローモーション映画を見ているようだ

(西川 渉、2007.7.5)

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