<ポーランド>

23機のEC135で救急飛行

 ポーランド厚生省はユーロコプターEC135ヘリコプターを受領した。同機はポーランド政府が2008年6月に発注した23機の1番機にあたり、ヘリコプター救急に使う予定。

 ポーランドは現在、全国17ヵ所の拠点でアグスタA109を1機と昔のソ連製ミルMi-2を使ってヘリコプター救急事業を展開している。このうちMi-2をEC135に取り替えて近代化をはかる計画で、今年中に追加5機、2010年中に残り17機を受領する。

 これでポーランド国民は世界で最も先端的なヘリコプター救急を享受できるというのが、ポーランド政府の弁。それに応えて、ユーロコプター社もポーランド国内に技術支援のための施設を設け、整備作業も同国内で可能な体制をつくる。

 なお、EC135は、これまでに800機以上の注文を受け、世界40ヵ国で飛んでいる。


ポーランド向け最初のEC135

 以下は上のニュースからやや外れるが、ポーランドの国土面積は312,678kuで、日本の8割強。そこに17ヵ所の拠点があるとすれば、今の日本よりも密度は高い。

 各拠点は、救急現場まで20分以内に到着することを目標とし、高速のA109は半径80km、Mi-2は60kmくらいを担当地域としている。出動態勢は、要請が出てから3分以内に離陸する。クルーはパイロット、医師、パラメディックまたはナース。費用は国の負担である。

 病院間搬送の2次救急は、出動要請から15分以内に離陸する。Mi-2は病院間100kmくらいの距離を担当するが、高速A109は全国どこへでも飛行する。

 運用時間は日の出または午前7時から日没15分前まで。ただしA109は午前7時から午後11時までとなっている。

 この話を、私は2006年2月、イタリアのアグスタウェストランド本社で開かれたヘリコプター救急会議の席で、ポーランドの運航担当者から直接聞いた。下の写真は、そのときのプレゼンテーション・スライドを撮ったものだが、3年前の当時はまだ拠点が16ヵ所(赤い円)だった。ほかに季節配備の拠点が2ヵ所(緑色の円)ある。


ポーランド拠点図(2006年2月)

(西川 渉、2009.10.3)

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