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陸上自衛隊のヘリコプター計画

 

  

 英『フライト・インターナショナル』誌(2004年3月16日号)に、陸上自衛隊がヘリコプターの調達計画を再考中と書いてある。こういうことが日本の新聞や雑誌で報じられているのかどうか知らないが、私には初めての知見なので、ここに記録しておきたい。

 それによると、陸上自衛隊は現在5種類のヘリコプターを調達しつつある。富士/ボーイングAH-64Dアパッチ・ロングボウ、富士/ベルUH-1J、川崎OH-1、川崎/ボーイングCH-47Jチヌーク、三菱/シコルスキーUH-60JAである。

 ところが防衛予算が緊縮状態にあり、これらの機材を将来、予定通りに調達してゆくことは難しくなってきた。2004年度予算でも、アパッチ2機、UH-1Jが2機、OH-1が2機、チヌーク2機、UH-60Jが1機しか買えない。これでは、たとえばアパッチの場合、今のAH-1コブラの代替として2006年度から55機が引渡される予定だが、配備完了までに30年ほどかかってしまう。

 OH-1も、今の100機以上の川崎/ヒューズOH-6に置き換わるには、もっと遙かに長くかかる。

 そこで陸上自衛隊としては、限られた予算の中で調達期間を短縮するために、機種をしぼることを検討中。たとえばUH-1JとUH-60Jのどちらかをやめて、多用途機は1機種とする。またOH-1とアパッチのどちらかをやめて偵察と攻撃を1機種でおこなう。

 この考え方に対して、川崎重工はOH-1のエンジンを強化し、武装攻撃機とする案を提示している。もちろんボーイングはこれに反対し、OH-1の本来の設計からしても攻撃機にはなり得ないし、アパッチならば攻撃と同時に偵察も可能と主張している。

 こうした計画変更に関して、防衛庁が決断を下すには今後なお数年はかかるだろうが、今のイラク状勢や北朝鮮問題を考えると、そんな悠長なことは言っておれない。ひょっとしたら2005年3月までに結論を出し、2005年度から新しい計画に入るかもしれない。 

 以上が英誌の見たわが国陸上自衛隊のヘリコプター計画見直しの問題である。さて、どんな結論になるだろうか。


OH-1――観測機といっても、もともと攻撃機にも似た外観を持つ。

(西川 渉、2004.4.20) 

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