<ファーンボロ2008>

MRJのライバルたち

 

 ファーンボロ航空ショーで、カナダのボンバーディア社はCシリーズの開発着手を発表した。背景にはルフトハンザ・ドイツの航空による最大60機の発注意向がある。60機のうち確定発注は30機、仮発注が30機になるもよう。同機は旅客110〜130人乗りのリージョナルジェットで、2013年に就航の予定。

 Cシリーズの開発構想は2006年2月に明らかにされた。しかし当時は注文がなく、計画は2年余り凍結されてきた。それが今、復活することになったのである。

 ボンバーディア社は、このクラスの旅客機について今後6,300機の需要があると見ている。うち半分の市場獲得が目標。

 Cシリーズの大きさは、エアバスA320やボーイング737の小さい方の旅客機と競合することにもなる。しかし大手2社は双方ともにCシリーズとの闘いには自信を見せており、今のところ問題とするような動きはない。


ボンバーディアCシリーズ

 Cシリーズに先行して開発がすすむスーパージェット100(SSJ)の将来見通しについて、ロシアのスホーイ社はファーンボロで強気の姿勢を見せつづけた。競争相手は、ボンバーディアおよびエンブラエルの両メーカーによるリージョナルジェットを初め、中国が開発中のARJ21、日本がようやく踏み切った三菱MRJなどがあるが、それらの相手と闘って今後20年間に1,040機を販売し、市場の15〜17%を占める目標を打ち出した。この販売目標は、ファーンボロ以前は800機だったが、イタリア・アレニア社の協力を得られることになって目標もふくらんだ。

 SSJは5月19日に初飛行した。2009年後半には型式証明を取り、初号機はアエロフロートに引渡される。将来は130人乗りの大型機や貨物機、さらにはビジネスジェットも開発したいという。

 このビジネス機にはスイスの企業などから高い関心が寄せられているので、案外早く実現するかもしれない。


ILA2008で見たSSJ100の模型

(西川 渉、2008.7.28)

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