<2003年実績>

ボンバーディア対エムブラエル 

 

 リージョナル・ジェットの2003年実績は、一時の落ち込みから回復して、90年代後半のような盛況を見せた。カナダのボンバーディア社とブラジル・エムブラエル社を合わせた生産数は308機で、前年の301機をわずかに上回っただけだが、受注数は272機に達した。キャンセルなどの調整を加えた純受注数は209機になるが、前年の55機に対して4倍近い伸びである。

 企業別の詳細は下表のとおりである。

リージョナル・ジェットの生産数と受注数

   

ボンバーディア

エムブラエル

2003年

生産数

221

87

受注数

91

181

変更数

-19

-42

純受注数

72

139

受注残

294

426

2002年

生産数

180

121

純受注数

36

19
(単位:機数)

 

 上表によると、エムブラエル社は受注数の伸びが大きい。これは70〜110席の170/190の受注が増えたためで、キャンセルを差し引いても127機の注文を受けた。37〜50席のERJ-134/-140/-145は受注増12機だったが、全体では139機の増加である。

 しかしエムブラエル機の生産実績は87機にとどまった。これは170の型式証明取得が遅れたためで、2003年中の引渡しは1機もなかった。87機の生産実績はすべて小型の-145シリーズだけによるものである。2004〜05年の生産は、大小合わせて毎年140機前後を予定している。

 一方ボンバーディア社のCRJファミリーは生産数が221機となり、ライバルのエムブラエル機に大きく水をあけた。このうち50席クラスのCRJ100/200/440は155機、70席のCRJ700が56機、90席のCRJ900が10機となっている。

 純受注数も72機で、前年の2倍になった。2004年の生産は、03年とほぼ同じ数を予定している。

 なおボンバーディア社は2003年12月9日、CRJファミリーの量産1,000号機を出荷した。1,000号機にあたったのはCRJ700で、引渡しを受けたのは米コムエア。同航空は1993年6月1日北米初のCRJファミリーを導入、現在はCRJ200と700を合わせて259機運航し、1社としては最大のフリートを保有している。

 ボンバーディア・リージョナル・ジェットは1989年に開発がはじまり、91年5月10日に初飛行、92年7月31日にカナダ運輸省の型式証明を取得した。量産1号機はドイツのルフトハンザ・シティラインに引渡され、92年11月1日定期路線に就航した。

 CRJファミリーは2003年末現在、確定受注数1,309機、引渡し数1,015機となっている。ほかに予約注文などを加えると総数2,578機となる。 

(西川 渉、2004.2.11)


(CRJ900)

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