<シコルスキー>

S-76Dに型式証明

 

 

 シコルスキーS-76Dは去る10月12日、FAAの型式証明を取得した。試験飛行は原型1号機が2009年2月7日に初飛行して以来、3機で900時間ほどおこなわれた。

 本来は2010年に型式証明を取得し、顧客への引渡しに入る計画だった。したがって2年ほど遅れたことになるが、その理由はアビオニクス・システムとエンジンの開発が遅れたためらしい。

 量産機の引渡しは、この年末から始まる。最近までの受注状況は金額にして5億ドル(約400億円)に相当する。2013年からは月産3機の量産に入る予定で、現在すでに16機が最終組立てラインを流れている。

 S-76Dの主要な特徴は、全複合材製の主ローターブレードや強力なPW210Sエンジンに加えて、THALES総合アビオニクス・システム、自動操縦装置、安全監視装置、アクティブ振動制御機構などが標準装備になっていること。任意装備としてはローターの防氷装置があり、これを装着すれば全天候飛行が可能になる。

 またローターは騒音が小さくなり、エンジンは燃料効率が良くなった。

 こうした装備によって、S-76Dは要人輸送のための社用ビジネス機のほか、海洋石油開発、捜索救難、救急救助など、さまざまな用途に使うことができる。標準客席数は12席。

 シコルスキーS-76は、その名のとおり、1976年に開発が始まり、77年に初飛行した。以来改良を重ね、S-76A、A+、A++、S-76B、S-76C、C+、C++と進化し、最近までの35年間に総計800機以上が生産されている。飛行時間は総計600万時間を超える。

(西川 渉、2012.10.23)

 

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