<シンガポール航空ショー>

ユーロコプター機の展示と昨年実績

 

 

 シンガポール航空ショーで、ユーロコプター社は多数のヘリコプターを展示した。内容はEC120B訓練機、AS350BA社用ビジネス機、 EC135要人乗用機、EC145救急機、AS365N3社用ビジネス機、EC155 石油開発機、NH90TTH軍用輸送機。

 ヘリコプターは今日、さまざまな分野で不可欠の機材として使われるようになった。たとえば時間に追われる企業トップの行動には、ビジネスジェットと共に有効な移動手段となっている。そのためビジネス向けのユーロコプター機は過去3年間、毎年3割ずつ増加してきた。アジア地域でも日本を初め、香港、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどで急速に増えている。

 またユーロコプター機は救急用の機材として、世界中で最も多く使われている。医師のために医師によって設計された機体として知られ、医療器具の装備、患者の搭載、狭隘地での離着陸などにすぐれた形状となっている。

 2007年末にはタイでも初めてのヘリコプター救急が開始された。バンコクの4つの病院が共同でEC145を使用し、救急現場で初期治療を行なう態勢をとるようになった。

 もうひとつ、最近は石油価格の高騰によって沖合遠くの海域で石油開発が盛んになった。こうして洋上遠距離の飛行にもユーロコプター機は最新のアビオニクスや所要の装備をつけてすぐれた能力を発揮する。北海の石油開発にも95%の出発信頼性を維持し、かつライフサイクル・コストは最も安い効果を上げている。インドネシアの石油開発企業からも2007年、新たに6機のEC155ドーファンと2機のEC225が発注された。

 NH90は最新の軍用ヘリコプターである。10トン級の多用途機で、パイロット2人のほかに武装兵員20人を搭載して、900kmの距離を300km/hの高速で飛行する。ドイツ、フランス、イタリア、オランダ4ヵ国の共同開発になるものだが、最近はポルトガルとベルギーが参加して量産にあたっている。

 最近までの受注数は507機。上の6ヵ国のほかにスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、ギリシャ、オマーン、オーストラリア、ニュージランド、スペインが採用している。

 ユーロコプター社は2007年、軍民合わせて総数488機のヘリコプターを生産し、引渡した。また受注数は802機であった。2006年にくらべて、引渡し数は約100機増、受注数は約200機増という。

 受注数の内訳は下表のとおり。

機    種

受注機数

EC120コリブリ

73機

AS350/355エキュレイユ/フェネック/EC130

325機

EC135

134機

BK117/EC145

88機

EC155ドーファン/パンサー

47機

EC225/EC725スーパーピューマ/クーガー

22機

NH90

95機

タイガー攻撃機

18機

合    計

802機

 なお、東南アジア地域でのユーロコプター受注数は2007年が27機であった。過去30年来の累計は300機を超える。

 また中国との間では新しいEC175の共同開発を進めている。


EC175

(西川 渉、2008.2.22)

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